厳しさ増す安全保障環境、なり手不足の自衛官…AI活用や無人化では効果に限界
完了しました
[あすへの考]人口減少社会、自衛隊も岐路
人口減少が進む中で、将来、日本の防衛を担う自衛官のなり手はどれほどいるだろうか。安全保障環境は厳しさを増すが、自衛官は減り続けている。現実的な視座で自衛隊の未来像を再考する必要がある。
充足率89・1%
昨年度末の自衛官の現員は、冷戦が終結した1989年以降で最少の22万252人だった。定員(約24万7000人)に対する充足率は89・1%にとどまる。9割を下回るのは99年度以来、25年ぶりだ。
人口減が続き、日本周辺の情勢も好転する兆しが見えない中で、近年の急速な自衛官の減少は憂慮すべき事態と言える。2020~24年度に約1万2000人も減少し、このペースで推移すれば、10年後には18万人台となる計算だ。
23年度の採用人数(約1万人)は計画比で約5割で、昨年度も同規模の人数だった。自衛官の役割は〈1〉最前線で活動する「士」〈2〉部隊の中核となる「曹」〈3〉曹士を指揮する「幹部」に分かれる。中でも最も深刻なのが若い「士」の不足で、現在、定員(約5万3000人)の6割しかいない。
近年は採用難だけではなく中途退職者の増加も深刻だ。昨年度は10年前と比較して5割増の約5600人に上った。幹部自衛官の退職も目立つ。労働市場の流動性の高まりや働き方の価値観の変化で、転職を考える人が増えたとみられる。
自衛隊法では、自衛隊の「主たる任務」として我が国の防衛を挙げる。「従たる任務」として災害派遣や海外での邦人保護などを示している。自衛官の定員は、法律で定められた任務を担うために必要な人数を積み上げてできた数字だ。定員と現員の隔たりが広がるほど隊員の負担も増す。周辺国に自衛隊は「張り子の虎」だと思われかねない。