京都府立医科大の運営法人、過去最大35億円の赤字…付属病院の経営厳しく「抜本的な改善難しい」
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京都府立医科大と府立大を運営する府公立大学法人(本部・京都市上京区)の2024年度決算で、最終損益が過去最大の35億8800万円の赤字になったことがわかった。全国的な傾向と同様、付属の医療機関で厳しい経営状況となっており、医薬品費や人件費の上昇が大きく影響し、診療報酬や交付金でカバーできない状態になっている。(岩崎祐也)
大学法人や府によると、収益の大部分を占め、3病院から入る付属病院収益は、入院や外来診療が増加し、前年度比30億200万円増の計421億6900万円だった。
一方、診療経費は293億8500万円(前年度比8億4700万円増)、人件費は279億5100万円(同23億300万円増)だった。府からの運営費交付金103億2300万円で穴埋めしたが、最終的な赤字額は拡大した。
これにより、08年の法人化以降の累積赤字にあたる次期繰越欠損金は計約47億9400万円。23年度は全国的な会計基準の改定で、最終損益は黒字だったが、経常損益ベースでは9年連続で赤字が続いている。
機関別では、前年度に続き6機関全てが赤字。赤字額は付属病院の16億8400万円が最も多く、北部医療センターの7億7200万円、最先端がん治療研究センターの4億200万円が続いた。また、法人本部は2億7300万円、大学本体も府立大が2億8500万円、医科大が8300万円の赤字だった。
大学病院の経営状況は全国的に厳しい。診療報酬が収益の土台となるが、大学法人によると、コロナ禍で病床確保や患者の受診控えなどが続き、収益が悪化した。24年度は、付属病院が救命救急センターに指定され、患者受け入れで病床稼働率は回復。だが、それ以上に物価高による消耗品費や人件費の増加などが収支を圧迫したという。
大学法人の木森優財務室長は「人材育成や医師派遣、政策医療など公立大病院の役割もあるが、収入が追いつかず採算の合わない状態が続いている」とした上で、「稼働率の向上や増収の取り組み、人員体制の見直しなどを図るが、抜本的な改善は難しい」と話す。
法人設置者の府は「法人による経営改善は必要で、引き続き取り組んでもらいたい。(法人運営の原資は)本来は診療報酬や交付税で賄われるべきで、不足分は国に制度改正などを要望していきたい」とする。