コメの増産 着実な価格低下につなげたい
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コメ農家が増産に取り組んだことで、主食用米の収穫量は9年ぶりの高い水準になる見通しとなった。家計の負担が軽くなるよう、価格の着実な低下につなげる必要がある。
農林水産省は、2025年産の主食用米の収穫量が747万トンになる見込みと発表した。前年比で約1割に当たる68万トン増える。
昨夏からのコメの価格高騰で、農家の増産意欲が高まったほか天候にも恵まれた。4月末時点の見通し719万トンに対し、結果は約30万トンも上ぶれした。おおむね良好な作況だったのは朗報だ。
農水省は需要量を697万~711万トンと予想している。生産量はこれを最大50万トン程度も上回ることになる。本来ならばコメ価格の低下につながるはずである。
だが現状では、25年産米が本格的に流通し始めたにもかかわらず、価格は高騰したままだ。
農水省は、全国のスーパーで10月6~12日に販売されたコメの平均価格が5キロ・グラム当たり4142円だったと発表した。購入割合が高いコシヒカリなどの銘柄米は、4440円に値上がりした。
石破首相は、「3000円台でなければならない」と価格抑制に強い決意を示していた。
政府が異例の随意契約による備蓄米の放出に踏み切って、7月には、いったん3500円台にまで下落した。現在の高値では、国民の納得を得られまい。
価格が下がらない背景には、JAや卸売業者の集荷競争があるようだ。昨年より大幅に高い買い取り価格を提示しているという。
昨年来、農水省の対応が後手に回って情報発信が混乱したため、卸売業者などが今も疑心暗鬼に陥り、コメの在庫をため込もうとしているということはないのか。
農水省は、昨年夏に価格が高騰した際、原因は流通の目詰まりで生産は不足していない、との説明を繰り返した。実際は、訪日外国人の需要増などを適切に把握できていなかった。生産が追いついていなかったことは後に認めた。
迷走したコメ農政の
ただし、需給予測を踏まえれば、コメ価格はいずれ急落する可能性があるとの指摘もある。コメ農家が苦境に陥り、生産基盤が弱体化する事態は避けねばならない。米価が下落した際の所得補償のあり方などの検討も急ぎたい。