宝塚・西谷の路線バス廃止
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来年度末 赤字深刻で
「地域の実情に即す」 市、代替手段模索へ
宝塚市の面積の3分の2を占める北部の西谷地域で、路線バスが来年度末に廃止されることがわかった。住民の移動手段として旧西谷村時代にスタートしたバス事業だが、1世紀の歴史に幕を下ろすことになる。公共交通の〈空白区〉が生じないようにするため、市や地元団体は代替手段の確保を迫られる。
(高部真一)
田園風景が広がる西谷地域のバス事業は1924年に旧西谷村の有志が出資してスタート。その後、経営形態を変えながら、97年に阪急田園バスと名称変更、2019年からは阪急バス(大阪府豊中市)が運行を続けてきた。
JR武田尾駅を軸に、北側にある宝塚ダリア園や市立長谷牡丹園、地域の拠点「西谷ふれあい夢プラザ」、公民館などをつなぎ、地元住民や観光客の移動を担っている。市立西谷小、中学校に通う児童・生徒のスクールバスの役割も果たす。24年度は年間乗客数は約4万4000人だった。
市が運行経費の一部として年間3000万円を補助するなどしてきたが、近年は運転手不足や燃料費高騰が深刻化、阪急バスによると、24年度は補助を受けても3700万円の赤字だった。同社は今年5月、市に対し、路線を維持するのが困難として、27年3月で全廃すると伝えた。
市は今後、地元の意見を聞きながら、代替手段を模索する。森臨太郎市長は今月の市議会一般質問で、「地域の実情に即した新たな移動手段の確保に取り組む」と答弁。来年度は実証実験を予定しているほか、国の交付金の活用も探る。
地域の「玄関口」となる武田尾駅では現在、バリアフリー化するため、エレベーター設置を進めている。西谷自治会連合会の塗家昭彦会長は「バス路線廃止を、地域の交通課題を考える良い機会だと前向きにとらえ、市と連携しながら、課題を解決したい」としている。