勾留中死亡の警視正は自殺と断定、巡回時に目視確認怠る…自殺ほのめかす自筆の便箋がトイレに
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不同意性交罪などで起訴された中国四国管区警察学校の警視正岩本幸一元被告(58)(死亡退職、不起訴)が広島県警広島中央署の留置場で死亡した問題で、県警は15日、死亡当日に留置場の担当者が巡回した際、居室内の元被告の姿を目視で確認するのを怠る内規違反があったと発表した。元被告が自殺したと断定したことも明らかにした。
発表によると、元被告は昨年11月7日に逮捕された後、同署の留置場で勾留された。今年2月17日夜、居室のトイレで、着ていたももひきを扉のちょうつがい付近に引っかけて首をつった状態で見つかり、搬送先で死亡が確認された。トイレの床には、自殺をほのめかす元被告の自筆の便箋もあった。
県警が調査した結果、留置場の担当者が当日午後6時45分~午後8時2分に巡回した際、居室内の元被告の姿を目視で確認する「動静監視」を怠っていたことが判明。県警の内規では、動静監視を行い、異変がないかを確かめるよう定めている。
県警は「(動静監視を怠った担当者は)通常業務が滞留し、巡回の意識が薄くなり、目視確認をおろそかにしていた。巡回表に記載することが目的化していた」と説明している。
首をつるのに使われたももひきは使用を禁止している衣類ではないが、組織的に十分な検討をせずに使用を認めたとし、県警は「不適切だった」としている。さらに「留置担当者間で自殺への危機意識が希薄化する状態があった」と指摘した。
この問題で県警は計6人を注意や訓戒とした。管理責任を問い、広島中央署の署長は本部長注意、副署長は所属長注意、留置管理課長は本部長訓戒。目視確認を怠った留置場担当者ら3人を所属長訓戒とした。
県警の長野吉克警務部長は「留置者が死亡する事案が発生し、真相究明の道が閉ざされ、被害に遭われた方々の信頼を損なう結果となり、深くおわび申し上げます」とコメントした。