清川あさみがSTARTOチャリティーCDアートに込めたメッセージとは
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プロジェクトと自分の作品の世界観がマッチしていた
一見、色鮮やかできらびやかさの際立つ「WE ARE」のCDジャケットは、よく見ると、人間や動物、植物、虹など森羅万象が細かく描写されています。たくさんの色の階層を重ね合わせる刺繍の技法も部分的に取り入れており、清川さんらしさを感じさせる作品です。
「生命、都市、文化の多様性、未来への希望など、いろいろなものが交ざり合った作品」と清川さんは説明します。作品をさらによく見ると、天地が逆さまに描かれています。当たり前のように見ていた風景が逆になっていたり、そのまま続いていたりと、あらゆる視点からいろいろな想像ができるような「多視点的な風景」を表現したといいます。
「『WE ARE』のアートは、ゼロから制作したというよりは、以前から制作を続けている『Serendipity(セレンディピティー)』や『Our New World』のシリーズにつながっていて、その中の1ページだと言った方が近い」と清川さんは話します。「Serendipity」シリーズは「情報の森に飛び込んでしまったようでもある自分たちが、光を探しながら旅をしていく」というテーマのアート作品。やはり、清川さんが手がけた時代劇「大奥」(NHK、2023年)のタイトルバックにも通ずるところがあるようです。
「作品のシリーズを絵巻に例えるなら、『WE ARE』のアートは、その長編絵巻の中の一つの絵として出てくるようなイメージです。制作するのに2か月程度の時間しかありませんでしたが、『WE ARE』の曲を聞いたときに、そのメロディーや歌詞が原動力になって、できる! と思いました。曲の最初のフレーズ、『大事なものはいつもなくして気がついた』からハッとさせられましたね。『必ず夜は明けるよ』という歌詞にも共感し、どんどん絵が湧いていきました。シリーズの作品を反映させて、曲を聞きながら新しい要素を盛り込んでいく。そんなふうにして制作を進めていきました」
「WE ARE」には、SUPER EIGHT、Hey! Say! JUMP、Kis-My-Ft2など人気グループが勢ぞろいしただけに、リリース前から注目度が高く、4月にCDジャケットが公開されると、SNSなどで大きな話題になりました。清川さんは「いつも私の作品を見てくれているファンの方たちは、私の作品だとすぐに分かったみたいですね。たくさんの友人からも連絡があり、SNSでもうれしいコメントを拾って教えてくれました」と、反響の大きさに驚いた様子です。
2度の大震災の経験が表現に影響
「WE ARE」は、能登半島地震の被災者に向けたチャリティーソングで、販売収益は被災者に全額寄付されます。兵庫・淡路島の出身で、東京を拠点に活動している清川さんは、阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)を「命の大切さを知った経験」として受け止め、その思いを自分の作品を通じて表現しています。
「古代から未来へと続く普遍的な自然の美しさや、人のつながり、本質、希望を感じられる作品になっています。これは、私自身が2度の大震災を経験したことが影響しています。昔から多様性を大事にしており、ポジティブな部分もネガティブな部分も、さまざまな要素が重なり合っていくつものレイヤーのように見えます。このように私が伝えてきたものが、今回のプロジェクトの世界観にも合うと思っていただけたのかもしれません」
絶滅した動物や絶滅危惧種の動物を題材にして、2011年6月に出版した絵本「もうひとつの場所」(リトル・モア)には、東日本大震災で体感した思いを吹き込んだといいます。「命について強く思うものがありました。そのため、出版する直前にページ数を増やし、希望のモチーフとして幻の美しい鳥を描きました。『WE ARE』のCDジャケットにも、同じモデルの鳥が飛んでいます」
清川さんはこれまでも、多くのチャリティーイベントに参加してきました。それは意識的なものではなく、自然な流れだったと話します。「そういった活動を大切にしている仲間や友人が多く、声をかけられることが多かったと思います。例えば、仲良くさせていただいている建築家の伊東豊雄さんや、(歌手で)友人の一青窈さんが参加したチャリティーオークション。こういったイベントは、私の作品のコンセプトに通じるものがあり、私の生活にもつながっているような感覚です」
「WE ARE」でも、少しでも自身の思いが能登半島の人たちに届くことを願っています。
(読売新聞メディア局 長縄由実)
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