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「赤ちゃんポスト」開設半年、受け入れは「2~3週間に1人」…東京・墨田区の病院長「命救えた実感ある」

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 東京都墨田区の賛育会病院が、親が育てられない子どもを預かる「ベビーバスケット」(赤ちゃんポスト)と、病院関係者にのみ身元を明かす「内密出産」の受け入れを始めてから半年がたった。賀藤均院長(68)は読売新聞のインタビューで、ベビーバスケットは2~3週間に1人程度を受け入れていることを明かした。一方、内密出産については「個人情報の管理が病院任せになっている」と、法制化の必要性を訴えた。(五十川由夏、江原桂都)

インタビューに応じる賛育会病院の賀藤均院長(9月、東京都墨田区で)=野口哲司撮影
インタビューに応じる賛育会病院の賀藤均院長(9月、東京都墨田区で)=野口哲司撮影

 同病院は3月31日、慈恵病院(熊本市)に続いて医療機関では全国2か所目の施設として、ベビーバスケット(正式名称「いのちのバスケット」)と内密出産の運用を始めた。

 ベビーバスケットは生後4週間以内の赤ちゃんを病院1階の専用部屋で受け入れており、病院関係者に接触せず預けることもできる。賀藤院長は件数は明かさなかったものの、「この半年で2~3週間に1件ほどの受け入れがあった」と説明。病院側が接触できた女性たちはいずれも妊娠を誰にも相談できず追い詰められていたといい、「命を救えた実感があり、始めてよかった」と語った。

賛育会病院に開設されたベビーバスケット。バスケットに赤ちゃんを置くと病院スタッフに通知される(病院のホームページから)
賛育会病院に開設されたベビーバスケット。バスケットに赤ちゃんを置くと病院スタッフに通知される(病院のホームページから)

 病院に赤ちゃんが預けられると警察が事件性の有無を確認した上で、都江東児童相談所が一時保護し、施設などへ入所させる。また、地元の墨田区が戸籍作成などの手続きを進める。

 都や区は2年前から病院や警察と協議を重ねて受け入れ準備を進めた。ベビーバスケットで受け入れた全員が健康に過ごしているといい、都の担当者は「都は病院の取り組みに賛同しているわけではないが、子どもの養育は一病院ではできない。引き続き対応していく」と強調する。

 妊婦が院外で孤立出産に追い込まれるのを防ぐため、身元を一部以外に明かさずに出産できる内密出産も、これまでに数十件以上の相談が寄せられた。ただ、内密出産となったのはその1割程度にとどまるという。

 病院に内密出産の希望が寄せられた際には、医師ら多職種でつくる判定会議が妊婦の意向や状況を精査し、決定する仕組みだ。ただ、受け入れを始めると、産気づいて病院へ向かう途中に「内密出産にしてほしい」と求める妊婦が相次いだといい、賀藤院長は「妊婦健診を一度も受けていない女性も多く、対話できる余裕もない例が想定以上だった」と指摘する。

 政府は2022年に内密出産についての通知を出し、子どもの「出自を知る権利」に配慮し、医療機関が内密出産した母親の氏名や住所などの身元情報を「永年保存」することなどを求めた。病院側も通知に沿って対応しているが、個人情報を病院が管理するのは難しく、賀藤院長は「安全に出産できるようにするのが病院の仕事。情報管理は公的機関がやるべきだ」などと指摘し、内密出産を法的に位置づけるべきだと訴えた。

「内密出産」制度化の議論、政府「慎重に」

 慈恵病院は2007年に「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を開設し、24年度までに計193人を受け入れてきた。19年には内密出産も始め、今月5日までの受け入れ人数は56人に上る。

 こども家庭庁は今年度、内密出産が法的に制度化されたドイツの事例などの調査研究を進めているものの、育児放棄の助長や母親の孤立化につながる懸念があるとして、赤ちゃんポストや内密出産を推奨しない立場を変えていない。内密出産は行政が母親の身元を把握できなくなるため、産後ケアや生活保護などの公的支援を受けることが難しくなることが主な理由で、同庁幹部も「制度化の議論は慎重に進めるべきだ」と話す。

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