ピアノ発表の場 子どもたちに
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20日 九度山の元幼稚園舎で「音楽祭」
主催の辻本さん 「小規模教室のモデルに」
ピアノを習っていても、観客の前で演奏できる場に恵まれにくい子どもたちを対象にした発表会「山の小さな音楽祭」が20日、九度山町の幼稚園跡地で開かれる。小規模教室や個人レッスンで楽器を教える講師にとって、発表会の開催は費用面などで難しいことが多いが、主催者は「同じような境遇にある教室のモデルになれば」と準備を進めている。(竹内涼)
主催するのは、大阪府内で主に小中学生を対象に訪問型のレッスンを行っているピアノ講師・辻本春菜さん(31)。発表会の開催は、昨年3月に続いて2度目になる。
日頃の成果を披露する発表会は、生徒にとって貴重な経験になる。一方で、ホールなどを借りる費用や集客などが大きな課題になる。講師にとってハードルが高く、辻本さんも当初は「諦めていた」という。
だが、イベント企画会社を経営する知人の亀崎唯史さん(45)に相談したところ、工夫次第で開催できる可能性が出てきた。
資金が潤沢ではないため、スタッフも参加費を出す異例の形を取ったが、知り合いやSNSを通じて募ったところ、思いに共感した音響やメイク、衣装などのプロが続々と協力してくれた。
会場は「普通のホールより、スタッフや出演者もわくわくするのでは?」という亀崎さんのアイデアもあり、廃園になった九度山町の旧町立古沢幼稚園の園舎をリノベーションしたカフェ「OLD STREAM」を選んだ。
最終的には辻本さんの生徒ら出演者6人に、約150人の大人が関わる結果に。当日も観客ら約100人が訪れた。辻本さんは「いろんな大人の支えを感じることで、子どもたちもその後、意欲的にレッスンに取り組むようになった」と手応えを感じた。
昨年の初回が好評だったため、2回目の開催を決めた。古い音楽室をイメージしたステージ装飾や、モーツァルトなどをほうふつとさせる衣装にもこだわり、準備を進めている。
辻本さんたちが目指すのは、同様の悩みを持つ音楽講師らに「こんな形で発表会ができるのか」と知ってもらうことだ。ノウハウを共有したり、一緒に発表会を開催したりすることも考えている。
辻本さんは「発表会を続け、子どもたちの経験の格差をなくしていきたい」と意気込む。亀崎さんも「少子化が進み、同じような悩みを抱える教室は多いのでは。ユニークな形だが、思いがあれば誰でも挑戦できると思う」と訴える。
午後1時開演。チケットは3000円。スタッフや出演者としての参加も受け付け中で、問い合わせは辻本さんのインスタグラム(@haru_piano25)のダイレクトメッセージで。