[時代の証言者]アニメで描く物語 富野由悠季 83<1>ガンダムは映像言語

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 アニメーション映画監督の富野由悠季さんは「機動戦士ガンダム」でアニメの世界を一変させ、約60年にわたって業界の第一線で活躍してきた。アニメという媒体を通して、人間の融和に向き合い続けてきた富野さんは「戯作者」を自称する。物語をどう紡ぎ続けてきたのか、アニメとともに歩んできた人生を語る。(文化部 池田創)

「アニメじゃなく映画をやってきたと思っている」(東京都千代田区で)=岩佐譲撮影
「アニメじゃなく映画をやってきたと思っている」(東京都千代田区で)=岩佐譲撮影

 電動紙芝居と呼ばれるようなレベルから始まった日本のアニメは、今や「ジャパニメーション」として、国境を超えて世界中で視聴されるようになりました。僕は手塚治虫先生原作の「鉄腕アトム」で演出家デビューし、「ガンダム」をはじめとする巨大ロボットの登場するアニメを多く手がけてきました。

 過大評価かもしれませんが、これまでの人生を振り返ると、僕は日本のアニメを底支えする背骨となる仕事をやってきたといえるかもしれません。一方で、今回の取材依頼を頂いたとき、僕のような人間が「時代の証言者」のコーナーに取り上げられる時代になったんだと理解しました。

 ただ、皆さんはアニメを単なる絵で描かれている動画だと理解してはいないでしょうか。僕は「ガンダム」などを通して、映像言語を使ってメッセージを発言してきました。つまり「富野はアニメの仕事をやっていたんだけども、アニメの仕事はやっていなかった」。映像作家を目指してきた面があるのです。アニメも映画であって、単なる絵を羅列、陳列した媒体ではないのです。

 物事の 深淵しんえん を語ろうとするときに、言葉で語ろうとすると、言葉の持つ狭さゆえに、一般的にうまく伝わらないことがある。それが映像を用いると具体的に語ることができるんです。ちょっと難しい言葉を使いますと、映像で「 形而上けいじじょう 的なことを伝えることができる」ということです。

 例として、スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」(1968年)は、類人猿の時代から宇宙旅行ができるような時代までを描き、人類の絶滅と再生を映像言語で語っています。同様のテーマを僕は、劇場版「伝説巨神イデオン」(82年)で表現しました。

 この業界に入って、虫プロダクションで出会った手塚先生や、フリー時代に制作現場をともにした高畑勲さんから多くを学びました。単純に自分が関わった作品のことを語って、一個人の話で終わらせたくはありません。その時々の時代が浮かび上がることも絡めながら、戯作者としてアニメとどのように向き合い、物語を創ってきたのか、お話ししようと思います。(アニメーション映画監督)(原則月~金曜の掲載です)

  とみの・よしゆき  1941年、神奈川県小田原市生まれ。日大卒。虫プロダクションに入社、テレビアニメ「鉄腕アトム」の演出を経てフリー。最新作は劇場版「Gのレコンギスタ」。

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7162193 0 時代の証言者 2025/10/02 05:00:00 2025/10/02 05:00:00 /media/2025/10/20251001-OYT8I50071-T.jpg?type=thumbnail
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