リスナーとアーティストつなぐ「ライナーノーツ」知ってますか?…配信普及で洋楽CD「日本盤」減少
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歌詞の対訳や解説・論評「読んで役に立つ」
CDを購入すると中に入っているのが、ライナーノーツ。音楽評論家やプロデューサーらが小冊子に作品の解説などを書いたもので、リスナーにとって音楽を理解する助けになってきた。音楽の聴かれ方の主流がCDからストリーミングに移るにつれて目にする機会も減ったが、これまでライナーノーツが果たしてきた役割やその意義について、ベテラン制作者に聞いてみた。(宍戸将樹)
「ライナーノーツ」とは元々、ジャケットの裏側(ライナー)に書かれた注記(ノーツ)という意味だ。歌詞の対訳や曲目・アーティストの解説、筆者が曲を聴いた論評などが記載されている。
ソニーの洋楽部門であるソニー・ミュージックジャパンインターナショナルで長年ディレクターを務めた白木哲也さん(61)は、「洋楽が流行した当初は曲やアーティストに関する情報が少なく、リスナーとアーティストをつなぐ役割を果たしてきた」と歴史的な意義を語る。
作成の際には、「アーティストへの理解度はもちろん、読み応えのある文章を書いてリスナーに伝えてくれる人」を探して、依頼してきたという。白木さんが携わった今年2月発売のボブ・ディランのアナログレコード復刻盤では、音楽評論家の中村とうようさん(故人)が50年以上前に執筆した文章を残したうえで、追加の解説文を掲載する形にした。「ライナーノーツには読んで役に立つ、資料的価値という側面もあるので」とその理由を語る。
突然リリース「制作間に合わない」
近年はストリーミングで音楽を聴くスタイルが主流となり、インターネットで検索すればアーティストや曲の情報を得られる世の中になった。直近の洋楽CDはあまり日本盤が作られず、そのためライナーノーツが入っていないものも多い。「アーティストの都合や情報のリークを防ぐために突然、発表されるケースもある。物理的に制作が間に合わない、流通の問題など様々な事情もある。本当はしっかり時間を取って発売日を迎えられたらいいのですが」と白木さんは苦笑する。
「時代の流れは止められないし、それぞれの音楽の聴き方があっていい」としつつ、白木さんは「求めてくれる人がいるうちはライナーノーツを出していきたい」と力を込める。
「海外の音楽を日本の人にわかりやすく広めたい、という思いがディレクターの先輩方にもあった。自分はライナーノーツを読んで、よりアーティストが好きになったし、作品をひもとくきっかけになると思う。曲を聞く前に読んでも、後で読んでもいい。それぞれで楽しんでもらえれば」