国勢調査 意義の周知で回収率高めたい
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国が実施する各種統計調査のうち、最も重要な国勢調査が始まった。意義を丁寧に説明し、回収率と精度の向上につなげることが大切だ。
調査は5年に1度行われる。今回は氏名や性別、家族構成、就業など17項目について、10月1日時点の状況を世帯ごとに回答する。外国人を含め、日本に住む全ての人に回答する義務がある。
結果は衆院小選挙区の区割り見直しや行政施策にも活用される。人口の約3%を占める外国人のための政策にも役立つだろう。
調査票は約60万人の国勢調査員が配布している。回答は10月8日までにオンライン、郵送、調査員による回収のいずれかで行う。
調査は1920年に始まり、人口の推移や家族の姿を映してきた。現在の日本は急速な少子高齢化や都市と地方の格差拡大、外国人労働者の増加など、歴史的な転換期にある。調査を通じて社会の変化を把握する意義は大きい。
だが、国勢調査は近年、住民のプライバシー意識の高まりや統計不正などに伴う行政調査への不信感から、回収率が低下している。「調査の数字は
都市部ではオートロックのマンションが増えた。コロナ禍もあって対面での調査は難しくなっている。居住者から回答が得られずに調査員が近所の人から世帯の実態を聞き取り、記入した割合は、前回16・3%に上った。
国は昨年度から、調査について広報活動に力を入れている。企業や学校を通じて社員や学生に制度への理解を求めるなど、実効性のある対策を進める必要がある。
外国人の回収率は日本人より低いとみられている。今回は28言語での回答が可能だ。調査を担当する自治体の部署と、外国人への支援策などを担う部署や民間団体が連携を深め、調査への回答を呼びかけてもらいたい。
国は、住民がスマートフォンで調査票のQRコードを読み込み、オンラインで回答する方式の利用拡大を目指している。対面せずに回答できるうえ、記入漏れがある場合は送信できない仕組みのため集計や点検の手間が省ける。
国勢調査を装った、住民への不審なメールや電話が相次いでいる問題もある。詐欺グループによる犯行とみられるが、放置すれば調査への悪影響は避けられない。
国や自治体は、住民への注意喚起を徹底すべきだ。警察も摘発を強化することが重要だ。