「稼げる」と誘われカンボジアで「かけ子」、中国人監視下で朝から晩まで詐欺電話…「成績」悪いと暴行も

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 東南アジアに渡航し、現地の特殊詐欺グループに加わった日本人が相次いで逮捕されている。「高収入」「稼げる」といった甘い言葉に誘われて海を渡ったものの、厳しい監視下で詐欺電話をかけ続けていた容疑者たち。警察の捜査で、暴力で支配された詐欺拠点の実態が明らかになってきた。(中部支社 小林岳人、藤江広祐)

コンビニや診療所

カンボジア北西部ポイペトの集合住宅。日本人はこの一角で集団生活し、特殊詐欺に関与していたとされる(6月26日)=竹内駿平撮影
カンボジア北西部ポイペトの集合住宅。日本人はこの一角で集団生活し、特殊詐欺に関与していたとされる(6月26日)=竹内駿平撮影

 「日本人20人以上が塀に囲まれた拠点内の施設で寝泊まりし、事務所で詐欺電話をかけている」。カンボジア北西部ポイペトの詐欺拠点から1月に帰国した男性は、愛知県警にこう説明した。これを機に拠点にいた男女29人が8月、日本に送還され、愛知県警に詐欺未遂容疑で逮捕された。29人は詐欺電話をかける「かけ子」だったとされる。

 県警によると、29人は拠点内の集合住宅で暮らしていたとみられる。拠点内にはコンビニや診療所、理髪店、ネイルサロンなどもあり、生活環境は整えられていた。

 ただ、拠点外に出るには許可が必要で、出入り口には武装した警備員が常駐していた。一部の容疑者は「ライオンやトラ、ワニが飼われているのを見た」と供述している。

【図解】ポイペトの詐欺拠点イメージ
【図解】ポイペトの詐欺拠点イメージ

 複数の中国人に監視され、組織的に詐欺電話をかける体制が築かれていた。29人は班ごとに仕切られたスペースで、通信会社の社員や警察官などを装い、スマートフォンなどで朝から晩まで詐欺電話をかけた。「業務中」の食事では、和食や中華、ファストフードなどの出前を取ることもあった。

 起床や消灯の時間は決められ、詐欺の「成果」はホワイトボードで管理された。監視カメラもあり、遅刻すると罰金を科された。

 新人は、マニュアルを暗記させられた。一日の終わりには、かけ子を集めた反省会があった。録音した通話内容を互いに聞き直し、相手をだます効果的なセリフなどを話し合っていた。

ターボライターで

 容疑者たちは詐欺の成果が振るわなかったり、「帰りたい」と申し出たりすると、殴る蹴るの暴行を受けた。火力の強いターボライターで鼓膜を焼かれたり、爪をはがされたりもした。県警の調べに「思っていたよりマイナスの環境だった」と供述した容疑者もいる。

 29人の多くは借金返済を目的に渡航しており、「稼げる」と誘われたケースが確認されている。SNSだけではなく、対面で勧誘された例もあった。県警は、日本国内での勧誘役や現地の案内役がいたとみている。

 報酬は詐欺で得た金額の数%とみられ、警察官役が「難易度が高い」として報酬も高かった。施設内の風俗店で報酬を使った容疑者が多く、借金の返済に充てていた者もいた。送還時、ほとんどの容疑者は現金を所持しておらず、多くても約2700円だった。

報酬、拠点生活費に…ミャンマー

 ミャンマー東部の国境地帯を拠点とした事件でも、日本人のかけ子たちは暴行を受けながら詐欺電話をかけていた。ノルマを達成できないと報酬が支払われず、スタンガンを体に押しつけられたという。有刺鉄線に囲まれ、武装した警備員がいたのもカンボジアの拠点と似通っている。

 県警に4月、詐欺容疑で逮捕された容疑者2人は「高収入のバイトに応募した」と周囲に語っていた。報酬は拠点での生活費に使ったとみられ、逮捕時の所持金はいずれも1万円未満だった。

 カンボジアとミャンマーの事件を捜査する県警幹部は「生活するには拠点の中で金を使う必要がある。詐欺で得た報酬も、結局は管理者側に還流する仕組みなのだろう」と分析する。

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