北上市大学議論正念場 候補に再開発予定地疑問も 関連予算提案を検討 国補助に期限計画急ぐ
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北上市が2030年度の開学を目指す市立大学(仮称)を巡る議論が正念場を迎えている。市当局は具体的な大学の形を示す「基本計画書」策定の関連予算案を、開会中の9月議会に追加提案することを検討。大学を「未来への投資」と位置付け、設置を急ぐ市に対し、一部の市議や市民からは「じっくり議論を」と求める声も上がる。(藤吉恭子)
■4時間の質疑応答
市が21日に市内で開催した「『大学のあるまち』を考えるフォーラム」。市は「会場からのすべての質問に答える」とのスタンスで、八重樫浩文市長と八重樫義正副市長らが登壇し、市民との意見交換に時間を割いた。会場に集まった約140人の市民らは疑問や意見を4時間以上にわたって市にぶつけた。
学生や教員の確保、財源への心配、地元企業との関係など幅広い質問が飛び交う中、「大学設置はもう決まったのか」と問われた八重樫市長は「市は3月に基本構想を策定し、(設置を)決めた。正式には基本計画策定など、今後何回かの議会の議決を経なければならない」と説明した。
疑問が集中したのは、市中心部の再開発事業予定地を設置の候補地にしたことだ。事業は地権者らでつくる民間組合が主体。約8000平方メートルのうち5000平方メートルを市が大学設置に向けて取得する計画のため、「なぜ郊外の市有地ではないのか」「再開発のための大学ではないか」などと批判の声が上がった。
市側は中心部にした理由に学生が学びやすい環境、街のにぎわい創出などを挙げ、「再開発のためではない」との主張に終始した。
■時間的制約が浮上
基本計画書は学長や教員の名簿、施設の詳細などを含む。関連予算案が議決されれば、教員確保や文部科学省との調整に着手することになり、大学設置への実質的なゴーサインとなる。
市が基本計画の策定を急ぐ背景には、国が3月に示した市街地再開発事業の支援制度の改正がある。大学候補地の本通り2丁目地区の再開発事業で有利な補助金を受けるには、2026年度末までに都市計画決定することが必要となった。
市が策定した基本構想によると、施設整備費117億4700万円のうち市の負担は83億4300万円。都市計画の期限に間に合わないと10億円近くの負担増が見込まれる。都市計画の手続きには開発者の募集や提案、決定、基本計画などが必要で、時間的な余裕はない。18日の議会一般質問で八重樫市長は「国の制度の改正があって、再開発に時間的な制約が出始めた」と述べた。
一方、市民有志でつくる「市立大学設置を考える市民の会」は8月末、「事業を進めることは、市民に不信と混乱、分断をもたらす」などとして、慎重な議論を求める要望書を署名とともに市議会に提出した。