福岡県の社会福祉法人贈収賄、開かれなかった役員選任理事会巡る「不正な依頼」で対立…元理事長は無罪主張
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東京都立大の星周一郎教授 (刑事法) の話 「理事の変更を依頼された際に、不正な手続きで行うよう求められたといえるか、被告に不正な手続きの認識があったかについてどう判断が下されるかが判決のポイント。理事会を開いていなかったことなどが重要な手続き違反にあたるかの評価も判断の鍵となる。同種事件の判例がほとんどなく、判決で請託の定義が具体的に示されるなどすれば、今後の捜査にも影響を与える可能性がある」
法改正で公務員同様に処罰
高齢化を背景に増加が続く社会福祉法人を巡っては、金銭の授受が介在した実質的な法人の「売買」が相次いだことを受け、2016年に社会福祉法が改正され、公務員と同様に贈収賄に対して処罰する規定が新設された。
改正以降、法人の役員選任を巡り、この規定が適用されて摘発される例があり、判決が出たのは少なくとも3事件で、いずれも有罪判決となっている。
21年には、甲府市の社会福祉法人で、理事らを交代させようと評議員に賄賂を渡したとして、当時の理事長ら9人が社会福祉法違反(贈収賄)容疑などで逮捕・起訴され、有罪判決を受けるなどした。24年には、三重県鈴鹿市の社会福祉法人の役員選任を巡り現金の授受があったとして、元理事長ら4人が同法違反(収賄)容疑などで逮捕・起訴され、うち3人が有罪判決を受けている。
相次ぐ事件を受け、厚生労働省は24年4月、理事や評議員らが役員選任を巡り不正な依頼を受けて金銭を受け取ったり、金銭を受け取り不適正な人物を理事長に選任したりした場合、民事、刑事上の責任を問われる可能性があるとして、各都道府県などを通じて法人側に対し注意喚起を行った。
社会福祉法人は、公益性の高さから、法人税や固定資産税が原則非課税となっており、厚労省の担当者は事件の背景について「税制優遇を魅力的に感じ、運営に関与しようとする人間がいるとみられる」と話している。
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