カナダと英国、G7で初めてパレスチナを国家承認…英国はイスラエルやアメリカに一定の配慮も
完了しました
【ニューヨーク=山本貴徳、ロンドン=工藤武人】カナダのカーニー首相と英国のスターマー首相は21日、パレスチナを国家として承認すると相次いで発表した。先進7か国(G7)によるパレスチナの国家承認は初めてだ。オーストラリアもパレスチナを国家承認すると発表した。パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルへの圧力を強める。
声明でカーニー氏は、イスラエルがヨルダン川西岸で国際法違反の入植拡大を続け、ガザへの攻撃で民間人の犠牲や深刻な飢餓をもたらしていると批判した。イスラエルと将来のパレスチナ国家の共存を目指す「2国家解決」の実現可能性が損なわれつつあることから、国家承認を先送りできないとの認識を示した。
スターマー氏はX(旧ツイッター)にビデオ演説を投稿し、国家承認を宣言した。「和平と2国家解決への希望を復活させるためだ」と説明し、ガザでの「破壊と飢餓は全く許容できない」と強調した。イスラム主義組織ハマスへの制裁を強化する意向も示し、イスラエルと米国に一定の配慮も見せた。英国は7月、イスラエルがハマスとの停戦に応じ、人道危機の打開策を講じなければ、国家承認に踏み切る方針を示していた。
また、アンソニー・アルバニージー豪首相は声明で、「パレスチナの人々が長年抱いてきた国家建設に対する正当な願望を認めるものだ」と国家承認の理由を説明した。
22日には米ニューヨークで、2国家解決に関する首脳級会合が開かれる。G7ではフランスも近く国家承認する意向を示している一方、日本は国家承認を見送る方針を明らかにしている。世界では約150か国がパレスチナを国家承認している。