福岡県の社会福祉法人贈収賄、開かれなかった役員選任理事会巡る「不正な依頼」で対立…元理事長は無罪主張
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福岡県糸田町で老人ホームなどを運営する社会福祉法人「貴寿会」(破産手続き中)の役員選任を巡り、9400万円を受け取ったとして、社会福祉法違反(収賄)に問われた元理事長の被告(59)の判決が19日、福岡地裁で言い渡される。被告側は不正はなかったとして無罪を主張。2016年の同法改正で新設された「贈収賄」が適用された摘発事例で、判例は限られており、司法判断が注目される。(水木智)
起訴状などによると、元理事長の被告は借金返済のため法人の売買を考え、21年6月、会社役員の被告(63)=同法違反(贈賄)などで公判中=から、必要な手続きを経ずに法人の理事などについて指定する人物に変更するよう依頼を受け、同月~翌7月、対価として計9400万円を受け取ったとしている。
昨年3月から1年半に及んだ公判では同法違反の贈収賄成立に必要な要件である不正な請託(依頼)があったかどうかを主な争点に全面的に争われた。
検察側の論告などによると、21年6月下旬、会社役員の被告から指定された知人男性らが理事に、会社役員の被告が元理事長の被告に代わり理事長にそれぞれ就任した。理事の選任や解任を行う評議員会で理事らの変更は承認されていたが、検察側は、同法人の理事選任に際し、開催することが定款に定められている法人の理事会が開催されていなかったことを踏まえ、「不正な依頼はあった」と主張。「社会福祉事業の適正な運営が害されている」として、懲役2年6月を求刑している。
一方、弁護側は、現金の授受を認めたうえで、理事会について「開催していないが、開催していないこと自体が違法行為として問われるわけではない」と反論し、「会社役員の被告から必要な手続きで理事などを変更するよう求められていて、不正な依頼はなかった」とした。会社役員の被告は当時、他の社会福祉法人の理事長も務めており、「豊富な経験を持つ会社役員の被告が(理事長の)後継者に適任だと認識していた」として、無罪を訴えている。
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