カーク氏殺害容疑者、全米試験で上位1%の高校時代…「物静か・人望ある好青年」が近年「政治的に」
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【ニューヨーク=金子靖志、ワシントン=阿部真司】若者に大きな影響力を持つ保守系団体代表のチャーリー・カーク氏を射殺したとして逮捕されたタイラー・ロビンソン容疑者(22)について、捜査当局は12日、政治的な動機があったとの見解を示した。犯行に至る詳しい経緯は不明だが、政治的立場に基づく米社会の分断が事件を機にさらに深まりかねないと米メディアは伝えている。
成績優秀で物静か、人望がある好青年――。米紙ニューヨーク・タイムズによると、地元の友人や同級生からは、容疑者に対して好意的な印象があったといい、今回の射殺事件について「信じられない」「衝撃だ」と受け止めている。
容疑者はユタ州南西部セントジョージの閑静な郊外で育った。過去に犯罪歴はなく、代々、厳格な道徳的規範を重視するモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)の家庭で成長した。
2021年に地元の高校を卒業し、州都ソルトレークシティー近郊のユタ州立大に入学。高校時代に全米統一試験で全国上位1%の高得点を得た実績もあり、同大では4年間の奨学金を得て入学した。わずか数か月で退学した理由は不明だ。その後、自宅近くの職業訓練校で電気技術見習い課程に入学し、犯行当時も同課程に在籍していた。
ユタ州は保守層が多く、昨年の大統領選でトランプ大統領は約6割を得票した強固な支持基盤を持つ州とされる。容疑者の両親は共に共和党支持者だ。ただ、容疑者は無党派として有権者登録していた。
捜査当局が家族への事情聴取で、容疑者が近年、「政治的になっていた」と語っている。また、容疑者は「彼(カーク氏)は憎しみに満ちており、憎しみを広めている」などと批判を強めていたという。
AP通信などによると、容疑者には軍歴や専門的な狙撃訓練の経歴はないが、父親と鹿狩りや射撃練習をし、幼少期から狩猟や射撃に慣れていたとの情報がある。犯行に使われたとみられるライフル銃には照準用のスコープが装着されていた。銃は犯行現場付近の森林で見つかり、残っていた弾薬には「おい、ファシスト! 食らえ!」などの文字が刻まれていたという。
事件後SNSで「内戦」急増…暴力呼びかけも
トランプ氏は12日に出演したFOXニュースの番組で、カーク氏の葬儀に参列する考えを示し、自身が再選した昨年の大統領選で「彼は大きな影響を与えた」と振り返った。当初から事件を「過激な左派」と結びつけており、番組でも「左翼の過激派は残忍で恐ろしい」と主張。容疑者について「有罪となり、死刑になることを願う」と述べた。
ニューヨーク・タイムズは事件を機に、SNS上で「内戦」の言葉が急増していると指摘した。事件当日の10日、X(旧ツイッター)上で12万9000回以上使われ、12日には21万回以上使われたという。過去数か月の1日平均約1万8000回と比べると、急激に増加した。同紙は「内戦」の議論は「主に共和党議員、右派メディア関係者、保守系ポッドキャスターから出たものだ」と指摘。暴力を呼びかける投稿もあったという。こうした状況を受け、与野党問わず、屋外で予定していた演説を取りやめる動きも広がっている。
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