新入社員の女性に「野良犬」と叱責…化粧品会社のパワハラで死亡、1億5000万円支払いへ
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化粧品メーカー「ディー・アップ」(東京都港区)の社長(当時)からパワーハラスメントを受けた後に自殺した女性社員の遺族が、同社と社長に損害賠償を求めた訴訟を巡り、東京地裁(松下絵美裁判官)は、同社側に1億5000万円の支払いなどを求める決定を出した。9日付。遺族と代理人弁護士が11日の記者会見で明らかにし、遺族は「全国の会社がパワハラの起きない職場環境をつくってほしい」と訴えた。
女性は、2021年4月に同社に入社した里実さん(当時25歳、姓は非公表)。同年12月、社長から「野良犬」「大人をなめるなよ」などと
代理人の松本龍馬弁護士によると、訴訟は今月に入って調停に移行し、地裁が職権による決定で解決策を示した。同社側が遺族らに謝罪し、社長が代表取締役を辞任することや同社側が再発防止策を講じることも盛り込まれたという。
里実さんの姉(31)は東京都内で記者会見し、「里実が生きているうちに謝ってほしかった」と涙ながらに苦しい胸の内を明かした。母親は「言葉は人を癒やすこともできるが、人を殺すこともできる。若者たちのためにも、安全で職場環境の良い会社が増えるよう心から願っている」などとする文書を寄せた。
同社によると、社長は10日付で代表取締役を退任した。同社側は「亡くなられた元従業員とご遺族に対し、衷心よりおわび申し上げる」とコメントした。
政府は、悩みを抱える人の相談窓口として、「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570・064・556)を開設している。