狙われた「フルーツ王国」福岡県うきは市で大量盗難相次ぐ…旬の梨6200個被害、8月の収入はゼロ
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こうした中で相次ぐ被害に危機感を抱くうきは市とうきは署、地元JAは8月28日、被害防止に向けた連携協定を締結した。市は協定に基づき、市内約10か所に防犯カメラを設置する。JAは農家による防犯カメラ設置費用の一部を補助。同署はパトロールを強化しており、宮崎修一副署長は「不審な人物の特徴などの具体的な情報を通報してほしい」と話している。
単価の高い果物被害、日中も犯行か
窃盗犯を専門に捜査する県警捜査3課によると、県内の農作物の盗難件数は20年以降、毎年40件前後で推移。被害額が10万円以上の事件は20年~25年8月に20件発生しており、ほぼ全てで単価が高いブドウや梨といった果物が被害に遭っているという。
品種や熟れ具合の見極めが難しいキウイや柿も狙われており、同課は「同業者が関与している可能性もある」と分析。微妙な色合いを夜間に見分けるのは難しいため、農家が出荷作業などで果樹園を不在にしている日中に盗まれるケースもあるとみられるという。
県警は農協や市場関係者に対し、見たことのない人が売りに来ていたり、不自然な量が売られていたりするのが確認された場合は警察に通報するよう呼びかけている。
農作物の盗難に詳しい福島大教育推進機構の鈴木あい特任准教授(犯罪科学)によると、被害が相次ぐ背景には〈1〉農村部の人口密度の低さに起因する人目の少なさ〈2〉販路の多様化による盗品追跡の難しさ〈3〉ブランド化した農産品の登場――などがあるという。
鈴木特任准教授らが複数のJAに聞き取り調査を行った結果、収穫で忙しいなどとして被害届を出していない生産者も多くいて、埋もれた被害が広がっている可能性があるという。鈴木特任准教授は「被害防止に向けた対策は生産者やJAだけでは難しい。自治体や警察と連携し、多面的に持続させていくことが重要だ」と指摘している。
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