噴水に26億円、プロジェクションマッピングに16億円…巨額予算に「無駄遣い」「ばらまき」批判
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[東京のこれから 25都議選]
東京都の2025年度当初予算は、一般会計や特別会計などを含めた総額で17兆8497億円に達し、3年連続で過去最大となった。スイス(14兆7000億円)など諸外国の国家予算と肩を並べる規模だ。豊かな財政力を背景に国や他自治体に先駆けて独自施策を次々に打ち出すが、「金のばらまき」との批判がつきまとう。
噴水に26憶円
東京港を一望できるお台場海浜公園(港区)は週末になると、レインボーブリッジをバックに記念撮影をする家族連れや外国人観光客らで大いににぎわう。
昨年9月、都はこの地に26億4000万円を投じて巨大噴水「ODAIBAファウンテン(仮称)」を建設すると発表した。幅250メートル、高さ150メートルで、「世界最大級」との触れ込み。来年3月に完成すると、年間で3000万人が訪れ、経済効果は約98億円に上ると試算する。
1989年に開発が始まった臨海副都心は、ショッピングモールやホテル、オフィスが次々に建てられ、2015年に年間来街者が過去最多の5680万人に達した。しかし近年はほかの観光名所に客を奪われ、地元企業などでつくる東京臨海副都心まちづくり協議会の中林久則事務局長(56)は「新たな集客を生み出す起爆剤になってほしい」と期待を寄せる。
「無駄遣い」「試算根拠がない」都議ら追及
だが、噴水整備費を含む25年度当初予算案は、2月に始まった都議会定例会で、一部の都議から「無駄遣い」「(経済効果の)試算に根拠がない」と厳しい追及にさらされた。賛成多数で可決、成立したものの、今回の都議選でも、計画の中止や見直しを訴える候補者は多く、批判はくすぶり続ける。お台場をよく訪れるという渋谷区の会社員(64)も「観光振興は民間に任せるべきではないか」と首をかしげる。
昨年2月にスタートした都庁舎壁面に映像を投影するプロジェクションマッピングへの批判も根強い。作品の作成料などで、昨年度までに16億5000万円、今年度は7億9000万円の予算を計上した。都は今年6月までに約72万人が足を運び、「東京の新たな観光スポットになった」と主張するが、一部会派からは「効果がわからない事業に多額の公金を使うより、物価高にあえぐ人たちを支えることが先だ」との声が上がる。
「長期的な視点で見極める力が求められる」元副知事が指摘
ただ、都が巨費を投じて実施した施策が全国に波及したケースも少なくない。
都は昨年度、都内在住の高校生を対象とした授業料助成の所得制限を撤廃し、私立校を含めた全ての高校授業料を実質無償化した。すると政府は今年4月、高校生を対象に所得制限のない助成金の支給を開始。26年度には私立を含めて実質無償化されることになった。
時に他自治体から「地域間格差を生みかねない」と苦言を受けながらも、新規事業を断行する東京都。元都副知事の青山
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