アメリカの60大学、トランプ氏の圧力受け「多様性」後退…補助金凍結で譲歩強いられ

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 【ニューヨーク=金子靖志、ワシントン=中根圭一】米国のトランプ政権が今年1月に「多様性・公平性・包括性(DEI)」政策の撤廃を打ち出して以降、全米の少なくとも60の大学で関連部門の閉鎖や再編などが行われ、人種や性別などに配慮したDEI政策を後退させたことが読売新聞の調査で判明した。補助金の凍結といった政権の圧力を受け、大学側が譲歩を強いられている実態が浮かび上がった。

米国のトランプ大統領=AP
米国のトランプ大統領=AP

 米高等教育専門紙「クロニクル・オブ・ハイヤー・エデュケーション」がバイデン前政権時代からDEI政策を推進しているとした約400大学について、読売新聞が8月上旬までに直接問い合わせるなどして調べたところ、1月のトランプ政権発足以降、計60大学がDEIの推進を取りやめるといった対応を取った。

トランプ政権発足後、DEI政策を変更・廃止した主な大学
トランプ政権発足後、DEI政策を変更・廃止した主な大学

 バイデン前政権下で、DEIは教職員の採用や留学生の受け入れなどでも推奨され、広く浸透した。だが、連邦最高裁は2023年6月、大学の入学選考で黒人やヒスパニックを優遇する「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」を採用していることを違憲と判断した。

 さらに、保守層が支持基盤のトランプ大統領は「逆差別を助長し、思想の自由を侵害する」と主張し、就任直後の1月20日に政府機関からDEI政策と関連部署を排除する大統領令に署名した。大学に対しても、補助金停止などをちらつかせて同様の対応を迫った。

 トランプ氏は、民主党を支持するリベラル派に支配されているとして特に名門大学を敵視しており、圧力強化の一環とみられる。

 実際、ハーバード大では4月以降、複数の学部のDEI関連部門が閉鎖され、公式サイトからDEI政策への言及が一斉に削除された。代わって「文化とコミュニティー」部門が新設されたが、従来の人種や性別に特化した支援策は大幅に縮小された。大学は「反ユダヤ主義」対策で政権と激しく対立しており、「さらなる衝突回避のため、DEI政策の転換で譲歩した」との見方が広がっている。

 シカゴ大法科大学院のトム・ギンズバーグ教授(憲法学)は、「人材育成と研究の多様性が失われかねない。DEIの撤廃は、教育の質と公平性を下げる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

  ◆DEI= 多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包括性(Inclusion)の略称。多様な個性を尊重し、公平な活躍の機会を与えることが、組織や社会の成長につながるとの考え方。米国では大学入試の選抜や企業の採用などの際にも重視されてきた。

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