「研究力」10年以内に世界3位目標…自民調査会が中間提言案、近く正式決定
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自民党の科学技術・イノベーション戦略調査会(会長=大野敬太郎衆院議員)は27日、日本の科学研究力の強化に向けた中間提言案をとりまとめた。研究力の指標となる「トップ10%論文数」で10年以内に世界3位となることを目標に掲げた。政府が今年度中に策定する「第7期科学技術・イノベーション基本計画」への反映を求める。近く正式決定し、石破首相に手交する方針だ。
日本は、「注目度の高い論文」として引用された回数で上位10%に入る論文数が1990年代後半は世界4位だったが、今年までの3年間は13位と過去最低が続いている。提言案では「我が国の基礎研究力は危機的状況にある」と指摘し、科学技術創造立国の再興に向けた国家目標として3位を目指すよう提唱した。
具体的な方針として、2040年頃までに文部科学省の科学研究費助成事業(科研費)を倍増し、人口あたりの博士号取得者を3倍に増やす目標を盛り込んだ。ポスト増などで若手研究者の支援を手厚くし、人工知能(AI)で研究の加速を図る国の戦略作りも求めた。
このほか、民生と軍事の双方で活用できる「デュアルユース(両用)」の先端研究の推進や、科学技術が安全保障と直結することへの理解を促す取り組みも重要な施策に挙げた。国の科学技術政策の司令塔である「総合科学技術・イノベーション会議」への防衛相の参画も要請する。