米パープレキシティ、グーグルに5兆円で「クローム」買収提案…IT業界の勢力図変わる可能性
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【ニューヨーク=小林泰裕】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は12日、AI(人工知能)検索サービスを手がける米パープレキシティが米グーグルに対し、ウェブブラウザー「クローム」を345億ドル(約5・1兆円)で買収する提案を行ったと報じた。世界のウェブブラウザー市場におけるクロームのシェア(占有率)は約7割に上る。買収が実現すれば、IT業界の勢力図が大きく変わる可能性がある。
報道によれば、パープレキシティはグーグルのサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)に宛てた書簡で、買収提案について「独立した運営者のもとにクロームを置くことで、反トラスト法(独占禁止法)上の措置を公共の最大の利益にかなう形で満たすことを目的としている」と説明したという。
グーグルはインターネット検索事業の独占を巡り、反トラスト法違反で米司法省に提訴され、米連邦地裁は2024年8月、グーグルが反トラスト法に違反しているとの判決を下した。地裁は今月中にもグーグルに対する具体的な処分内容を判断する見通しで、地裁がグーグルにクロームの売却を命じれば、パープレキシティの提案が実現する可能性が高まる。
WSJによれば、クロームの事業価値は200億~500億ドルと推定されている。クロームはグーグルの基幹事業の一つであるため、グーグルは売却に反対の姿勢を示している。
パープレキシティは22年に設立された米国の新興企業。利用者が質問を入力すると、AIがインターネット上の最新情報を要約し、回答するサービスを手がけている。
一方、著作権侵害で提訴される事例も相次いでおり、記事を無断でサービスに利用したとして、WSJの発行会社などから24年10月に提訴された。
読売新聞東京本社、大阪本社、西部本社の3社も今月7日、記事の利用差し止めと計約21億6800万円の損害賠償などを求めてパープレキシティを東京地裁に提訴した。