選挙とSNS 民意ゆがめる工作に対処急げ
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SNS上に誤った情報を発信し、相手国の世論や選挙を自国にとって有利な方向に誘導する、といった情報工作が、世界各地で行われている。
日本はこれまで、言葉の壁もあり、そうした工作とは無縁だと思われてきた。だが、翻訳の技術革新によって状況は一変した。外国勢力による世論への介入を防ぐ対策を早急に講じねばならない。
昨年のルーマニア大統領選では、無名の親ロシア派候補が最多得票を獲得した。この候補の動画が拡散するよう、ロシアの勢力がSNS上の情報を操作した疑いが生じ、選挙は無効となった。
当局がSNSの監視を強める中で行われた今年5月のやり直し選挙では、別の候補が当選した。
ロシアのウクライナ侵略では、双方が、相手国の犯罪と見せかけるような偽動画を拡散しているとされる。両国とも国際世論を味方につける狙いがあるようだ。
日本も例外ではなくなった。
2023年末に当時の岸田首相は約6600億円のウクライナ支援を表明した。その直後に能登半島地震が起きると「ウクライナより被災地を支援すべきだ」といった投稿がSNS上で拡散した。
外務省などが調査したところ、この投稿はロシア関係者が拡散したものとみられ、自動で大量に投稿できるボットというプログラムが使われていたという。外務省は、ウクライナ支援をやめさせる狙いがあったとみている。
今回の参院選期間中も、外国勢力によるとみられる、社会の分断をあおるような投稿が不自然に拡散したという。政府は内容を発表していないが、詳細が不明では疑心暗鬼を生むだけだろう。調査して結果を明らかにすべきだ。
海外からの情報操作は、選挙結果に直接影響を及ぼそうとするものに限らない。社会を混乱させるため、選挙に不正があったのではないか、という疑念を生じさせることを狙った発信もある。
自民、公明両党は、外国勢力の選挙などへの介入を阻止するため、法規制を検討するという。
偽情報対策で先行する欧州連合(EU)は、SNS事業者に偽情報の拡散防止を法律で義務づけ、違反した場合には罰金を科すことにしている。
専門機関が、人の
政府・与党は、欧州の取り組みも参考に、偽情報などへの監視を強める必要がある。