殺人鬼プーさん、復讐の鬼ハイジ…“キャラ変”映画続々登場のワケは
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くまのプーさんとアルプスの少女ハイジ。児童文学の名作で、アニメにもなって誰からも愛されているキャラクターだ。そんな「愛されキャラ」が恐怖の対象となるホラーが相次いで公開される。プーは殺人鬼、ハイジは
愛されキャラがホラー映画に
「はちみつはもう飽きた。」のキャッチコピーで23日公開されたのは、「プー あくまのくまさん」(リース・フレイクウォーターフィールド監督)だ。
「100エーカーの森」でプーやブタのピグレットらと友達になり、少年時代を過ごすクリストファー・ロビン。だが青年になると、大学進学のため森を離れる。捨てられたと思ったプーたちは人間を恨むようになる。ある日、婚約者と森に戻ってきたロビンが見たものは、見境なく人を殺すプーたちの変わり果てた姿だった。
俳優がマスクを着けただけのプーとピグレットが、夜の闇の中、森を訪れた人々をひたすら襲うストレートなスラッシャー(殺人鬼映画)。A・A・ミルンが1926年に小説「クマのプーさん」を発表して以来、愛らしいキャラで子供たちの友達だったプーは、なぜ凶行に走ったのか。
宣伝プロデューサーの叶井俊太郎さん(55)は「いろんな国でプーさんの著作権が切れ、キャラが自由に使えるようになったから」と話す。「愛されキャラとホラーとのギャップが面白いとの発想。バンビやミッキーマウスも著作権が切れるので、間もなく人間を殺し始めるようです」
ハイジが襲い来るスイス映画「マッド・ハイジ」(ヨハネス・ハートマン、サンドロ・クロプシュタインの共同監督)は、7月14日の公開。
悪の大統領がチーズの流通を独占するスイス。闇でチーズを販売していたペーターが処刑され、恋人のハイジ(アリス・ルーシー)も矯正施設に送られ虐待される。復讐に燃えるハイジは施設から脱走。大地の女神の力によって、スイス伝統の武器で敵を惨殺する怪人となり、レジスタンスと共に大統領に立ち向かう。
日本ではヨハンナ・シュピリの原作より宮崎駿と高畑勲が参加したテレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」が有名だ。そのアニメ版のパロディーも描かれる。スイス初のエクスプロイテーション映画(扇情的な見せ物映画)となり、ハートマン監督は「スイスでしか作れないテーマは何かと考えたらハイジだった」と語る。様々な伝統文化を取り入れつつ、ブラックな笑いとアクション、残酷描写にあふれた“大人のハイジ”。18歳未満は鑑賞禁止のR18+指定だ。
(読売新聞編集委員 小梶勝男)
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