猛暑に強く味もよい新品種サバ開発「さばイバル・プロジェクト」…福井・小浜で完全養殖の実用化へ
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かつてサバの一大産地だった福井県小浜市で、サバを卵から育てる「完全養殖」の実用化に産官学で取り組む「さばイバル・プロジェクト」が、猛暑に耐えられる新たな人工品種の開発に乗り出した。海水温の上昇で、同市を含む全国各地で取り組むサバの養殖は壊滅の危機にあることから、プロジェクトでは、新品種を確立し、全国に拡大していきたいとしている。(農本陸人)
同プロジェクトは、県立大海洋生物資源学部(小浜市)、同市の漁業者による「田烏水産」、ふくい水産振興センターなどが昨春、5年計画でスタートさせた。
これまでに独自の技術で、稚魚の成長速度などを上げる研究を実施。プロジェクト開始前は20%だった
一方で、養殖に向けては海水の高温化が大きな課題となっている。小浜市では、2016年度に同市などがブランドサバ「小浜よっぱらいサバ」の養殖を開始。19年からは田烏水産が担ってきたが、猛暑で多くが死滅し、23年10月以降は出荷を停止している。全国の養殖サバの産地でも同様の状況で、種苗(稚魚)も不足している。
プロジェクトでは、完全養殖には、優れた人工種苗が必要と判断。味が良く、市場での人気が高い「マサバ」と、暑さに強い「ゴマサバ」を交配させる「ハイブリッド種苗」をつくることで、双方の長所をもつサバとして、新たに広めていくことにした。
遺伝子組み換えやゲノム編集などを行うことなく、自然環境に近い状態で2種のサバを交配させる。マサバとゴマサバの交雑種は、自然界でもまれに誕生しており、安全性は高い。同大の教員と学生約20人がうま味、食感、脂のりなど5項目での食味検査を行ったところ、マサバと遜色なく、特に食感が優れているという結果が出たという。
この技術を活用し、28年度中によっぱらいサバを復活させるとともに、全国各地の養殖サバ産地にも種苗と技術を提供していく計画だ。また、逃亡魚が自然界に影響を与えないよう不妊化した種苗の開発や、養殖場内での生残率向上にも力を入れていくことも掲げる。
こうした成果と今後の取り組みについてプロジェクトメンバーが10日、県立大永平寺キャンパス(永平寺町)で発表会を行った。研究代表者の田原大輔教授は「生食でも安全に食べられるのが養殖サバの強み。『