凍結口座から3億円引き出し、強制執行に公正証書を悪用の可能性…法務省が作成経緯を調査

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 犯罪に悪用された疑いがあるとして凍結された銀行口座から資金を引き出そうと、東京都内のコンサルティング会社が不当な強制執行をかけていた問題で、同社が法人や外国人名義の口座に計25件の強制執行を繰り返していたことがわかった。このうち公正証書を使った強制執行で3億円超を引き出していたことも判明。法務省は、公正証書が悪用された可能性もあるとみて作成経緯を調べている。

スタッシュキャッシュ社による強制執行の構図(同社に対する判決や訴訟記録に基づく)
スタッシュキャッシュ社による強制執行の構図(同社に対する判決や訴訟記録に基づく)

 コンサル会社は渋谷区と品川区にそれぞれ本社がある二つの「スタッシュキャッシュ」。別法人だが、同一人物が代表を務める。投資詐欺の被害金の移転先だった口座に対し、口座名義人の広告関連会社に貸し付けがあるとの公正証書を根拠に強制執行を行って約1億円を得たが、東京地裁が8日、「公正証書の内容は信用し難い」とする判決を出した。

強制執行に対する金融機関の対応(訴訟記録などに基づく)
強制執行に対する金融機関の対応(訴訟記録などに基づく)

 このほか、ベトナム人に金銭を貸したとする支払い督促の書面に基づく6件の強制執行についても、詐欺の被害者側が起こした訴訟で「無効」とする判決が確定している。

 訴訟記録によると、スタッシュ社の強制執行は、昨年11月までの1年間でこの7件を含む計25件に上ることが新たに判明。執行対象の口座の大半は犯罪に悪用された疑いがあるとして凍結されており、資金の引き出しを試みていた。

 内訳は、法人8社に総額約4億8600万円を貸し付けたとする公正証書を根拠にした8件と、外国人13人に同約5700万円を貸し付けたとする支払い督促に基づく17件。銀行側が支払いを拒んだケースもあったが、公正証書による執行のうち、8日に判決が出た1件を含む計4件ではスタッシュ社が計約3億3000万円を回収していた。

 詐欺事件の被害者側は「貸し付けを装った不当な強制執行が組織的に行われ、被害金が外部に流出している」と訴えている。一方、スタッシュ社の担当者は読売新聞の取材に「貸し付けは事実で正当な強制執行だ」としている。

 公正証書について、法務省の担当者は「事実関係を調査しており、作成経緯に問題があれば必要な指導や対応を行う」と話している。

 ◆ 公正証書 =元裁判官や元検察官らが務める公証人が金銭の貸し借りなどを当事者の面前で確認し、その内容を法的に証明した書面。判決と同様に強制執行を行う根拠にできる。公証人は法相が任命する公務員。

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