「免疫食事」とも言える和食の文化、発酵学者「日本人は世界一のベジタリアン」…肉食の浸透に懸念

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 仙台市青葉区のホテルモントレ仙台で1日に開かれた「読売 Bizビズ フォーラム東北」(一般社団法人「読売調査研究機構」主催)。「発酵で健康」をテーマに講演した発酵学者で東京農業大名誉教授の小泉武夫さん(81)は、微生物によって作り出された発酵食品が持つ驚きの健康効果や、和食文化の大切さを訴えた。

「発酵で健康」をテーマに講演する小泉さん(1日、仙台市青葉区で)=永井秀典撮影
「発酵で健康」をテーマに講演する小泉さん(1日、仙台市青葉区で)=永井秀典撮影

 福島県小野町の造り酒屋に生まれた小泉さん。 こうじ 菌で作られた甘酒について、必須アミノ酸やビタミンが含まれていることを解説し、「まさに飲む点滴。発酵によって非常に高い栄養成分が作り出されている」と指摘。キムチには乳酸菌によるダイエット効果や整腸作用があり、動脈硬化の予防も期待できるという。

 体の免疫力を高める効果もあるという発酵食品。「キムチ納豆」を食べた人が新型コロナウイルスに感染しにくかった例も紹介した。自ら行った実験では、がん細胞の増殖を抑制するデータも得られたといい、「将来的には微生物から、がんの特効薬ができるのではないか」と期待した。

 また、古くから伝わる和食に含まれる豊富な栄養成分についても説明。みそ汁と漬けものといった発酵食品とともに、野菜や豆、海藻類などの食事を例に挙げ、「日本人は世界一のベジタリアン。食物に含まれた繊維が腸で活躍する。和食は『免疫食事』とも言える」と強調した。

 「畑の肉」と呼ばれる大豆には、牛肉に匹敵するたんぱく質が含まれていると紹介。江戸時代には、みそ汁に豆腐と納豆、油揚げを入れた究極のスタミナ食があったといい、「夏の疲れた時にはぜひこの食事を試してほしい」と呼びかけた。

 一方、肉食や洋食文化が浸透している現代社会に懸念を示し、「もっと学校教育で和食の大切さを教えてほしい」と訴えた。

 小泉さんの話に約70人の参加者も興味津々の様子で聴き入った。警備会社「セコム」の久保田顕・東北本部長(63)は「発酵食品の奥深さを理解できた。毎朝、納豆と漬けものを食べているので自信になった」と笑顔。東京農大出身という宮城県栗原市の「金の井酒造」の三浦華子常務(29)は「改めて食生活の大切さを学ぶことができた」と話した。

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