日本郵便不適切点呼、子会社に実施報告命令へ…委託による「監査・処分逃れ」封じる狙い
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日本郵便(JP)で運転手への点呼が適切に行われていなかった問題で、国土交通省は25日にも、貨物自動車運送事業法に基づき、JPの完全子会社「日本郵便輸送」に対し、点呼の実施について報告徴収を命じる。同社への委託増による輸送力の維持をJPが表明したことを受け、監督を強化する。
関係者が明らかにした。日本郵便輸送への報告徴収命令は、JP側への〈1〉トラックなどによる一般貨物自動車運送事業の許可取り消し〈2〉「運行管理者」約200人の資格返納命令〈3〉軽バンなどによる貨物軽自動車運送事業への輸送の安全確保命令――の行政処分と併せて行う。
JPは許可取り消し処分で使えなくなるトラックなど2500台分の輸送力(月11万8200便相当)のうち、24%を日本郵便輸送への新たな委託(外部への再委託を含む)で補う。このため国交省は、トラックなど2450台を保有する同社に対しても、確実な点呼の実施策を講じて定期的に状況を報告するよう命じる。子会社への委託による事実上の「監査・処分逃れ」を封じる狙いがある。
さらに、処分で減少する輸送力の42%は、許可取り消しの対象とならない軽バンでの代替を見込むことから、国交省はJPの軽バンなどによる運送事業について、同法に基づき輸送の安全確保を命じ、7月中に改善策を提出させる。
4月25日に始まったJPへの特別監査では、トラックなどによる運送事業で社内調査に基づく報告の通り、点呼の全部未実施や記録改ざんといった悪質な違反行為が全国で確認された。JPは処分で使用できなくなるトラックの運転手を軽バンなどへ配置転換する。
こうした状況を受け、国交省はJPから同様の報告を受けた軽バンによる運送事業でも、監査の終結を前に点呼の実施体制を確実に是正させ、安全管理体制の再構築を急ぐ。命令違反には最高100万円の罰金が科されるほか、命令後に点呼の不備が起きれば車両使用停止の処分が重くなる。
輸送の安全確保命令は、法令や自社の安全管理規程を順守していない事業者に対し、是正措置を講じるよう命じる行政処分。船舶では海上運送法に同様の仕組みがあり、北海道・知床半島沖での観光船「KAZU I(カズワン)」沈没事故を受けて法人で最高1億円の罰金刑、個人には最長1年の懲役刑(現・拘禁刑)などに厳罰化された。