地裁判断ミス 審理差し戻し
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「行政組織」訴えたのに「署長」を被告に
専門家 原告に説明尽くさず「不親切」
国有林での通行トラブルを巡る訴訟で、原告が行政組織を訴えたのに、地裁が法律上、賠償責任を負わない公務員個人を被告とし、原告敗訴の判決を出したのは違法だとして、大阪高裁は、審理を地裁に差し戻す判決を言い渡した。専門家は「初歩的な判断ミス」と指摘する。
1月31日付の高裁判決によると、原告の自営業男性(49)は2023年10月、すさみ町の国有林内にある林業専用道の通行を認めなかったのは違法だとして、国有林を管轄する林野庁和歌山森林管理署の当時の署長を相手取り、通行許可などを求める国家賠償請求訴訟を起こした。代理人弁護士を付けない本人訴訟だった。
昨年7月の地裁判決は、訴訟での男性とのやり取りを基に、男性が署長個人を被告として訴えた前提で、「国家賠償法上、公務員個人は賠償責任を負わない」として請求を棄却。男性が控訴した。
高裁判決は、訴状の被告欄には、署長の氏名の前に「近畿中国森林管理局和歌山森林管理署長」と表記されていると指摘。訴状中に「被告は行政組織」との記述があることも踏まえ、署長個人を被告ととらえることはできないと判断した。
地裁総務課は「コメントは差し控える」としている。
南山大の石田秀博教授(民事訴訟法)は「地裁の判断ミスで、その対応も不親切だ。原告に対し、国家賠償請求訴訟の被告は国か自治体になることを丁寧に説明すべきだった」と指摘する。
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差し戻し審の第1回口頭弁論が今月13日、地裁であり、行政機関の近畿中国森林管理局和歌山森林管理署長を被告として審理をやり直すことが確認された。