[掛布雅之物語]<20>打てなくて「1面」に誇り…4番打者の矜持

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 現役引退から30年以上たった今も、33歳の若さでバットを置いたことを掛布は後悔していない。

 スラッガーらしからぬ身長1メートル75の体格ながら、磨き上げた豪快なスイングで通算349本塁打を放ち、3度の本塁打王に輝いた。そこには、4番打者の矜持きょうじがあった。

引退試合で花束を手に観客席を見つめる掛布(1988年10月10日、甲子園球場で)
引退試合で花束を手に観客席を見つめる掛布(1988年10月10日、甲子園球場で)

 「掛布 ブレーキ」――。そんな見出しがスポーツ紙の1面を飾った時のことを、掛布は誇らしげに振り返る。「打って1面は誰でも取れる。でも、打てなくて1面はなかなか取れないでしょう。その時に思ったんですよ、ようやく4番として認められたんだと」。打順にこだわらなければ選手寿命が延び、名球会入りの条件になる2000安打に届いたかもしれない(通算1656安打)。だが、掛布は打者としての勲章よりも、阪神の4番にこだわった。

 「自分でもあんなに早く辞めるなんて、思っていなかった。ただ、グラウンドを去る時は、4番として、その席を空けるべきなんじゃないかと思っていた。それがチームの新陳代謝にもつながるし、僕を育ててくれたファンへの礼儀だと。実に濃密な15年間の現役生活でした」(敬称略、随時掲載)

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