アパート生活では隣人愛を感じられない(1941年9月3日)
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過日子持ちアパート建設を政府に建議したいといわれた「黙し得ない生」に対し一言する、成程一応は貴君の建議の趣旨は理解出来る、しかしアパート生活が及ぼす思想的影響を考えると遽に賛成出来ない、そこで助長される個人主義や刹那主義的思想が如何に現代青年婦女子をして青白くせしめていることか。
そもそもアパートは十九世紀ごろのユダヤ人の生活様子に始まる、従ってヒトラーはアパート生活の及ぼす思想的影響を憂え極端にこれを排斥しているではないか。アパート生活では日本人的な隣人愛は感じ得ない。
僕は青年を採用するとすれば、アパート生活者よりも寧ろ素人下宿住いのものを選ぶ、まして妻帯者をや、アパートの隆盛は将来の人的資源に大きな暗影を投じつつあると信ずるものである。(1941年9月30日)
※東京本社版の投書の字体を改め、
表現などは当時のまま掲載しています。