九州発 西部本社編集局

国立病院機構、懲戒処分を原則全て報道機関に発表する運用に見直し…「HP掲載のみ」指摘受け

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 独立行政法人国立病院機構(本部・東京)の各グループが懲戒処分の公表をホームページ(HP)のみの掲載にとどめていた問題で、機構が原則全ての懲戒処分を報道機関に発表する運用に変更したことがわかった。読売新聞が4月にこの問題を報じ、機構本部が確認したところ、一部グループでHPでの公表を原則とする取り扱いになっていたという。機構本部は「指摘を受け、運用を見直した」としている。

懲戒処分の公表方法の運用を見直した国立病院機構本部(10日、東京都目黒区で)=波多江航撮影
懲戒処分の公表方法の運用を見直した国立病院機構本部(10日、東京都目黒区で)=波多江航撮影

 読売新聞が情報公開請求で入手した資料によると、変更したのは「職員懲戒等規程の運用について」。これまでは、報道機関への発表を原則としたうえで、「社会一般に公表するまでには及ばない事案はホームページへの掲載で公表することができる」との「ただし書き」があった。4月30日付で、ただし書きを削除した。

 処分の重さにかかわらず都道府県庁の記者クラブに資料を提供するとともに、HPにも掲載し、掲載期間も「公表日から原則1年以上」とすることを新たに定めた。

 機構の懲戒処分の公表を巡っては、読売新聞が4月、2024年度に公表された計47人の懲戒処分がいずれも報道機関には発表されず、HPのみの掲載にとどまっていたことを報道した。多くが公表後約3週間で削除されていたことも指摘した。

 47人のうち、懲戒解雇が2人、停職が22人に上っていた。刑事事件になった事案のほか、患者への虐待や、医師が勤務中に飲酒した事案などもあった。大半がHPのトップ画面には掲載せず、別のページに入らないと閲覧できなかった。

 機構は全国を地域ごとに6グループに分けて、計140病院を運営している。機構によると、HP公表を原則とし、掲載を約3週間とする扱いは23年3月頃に関東信越グループ(東京都目黒区)から始まった。九州グループ(福岡市)は公表方法を変更する起案書を作成して決裁を受けるなどし、追従した。

 約3週間という掲載期間は、過去の不祥事での機構本部の対応が参考になっていたことも判明した。

 この不祥事は22年3月に取引業者からの接待などを理由に計74人が処分された事案で、当時、機構本部は記者会見を開いて説明していた。その後、虚偽報告などが明らかになり、追加で22年12月に懲戒処分にした4人について、HPのみでの公表にとどめた。この時の掲載期間が3週間程度だった。どのような判断で期間を決めたのかは分からないという。

 機構は厚生労働省所管の独立行政法人で、職員は「みなし公務員」に該当する。機構の懲戒処分の公表方法について、識者からは「情報公開が叫ばれる時代の流れに逆行している」との指摘が上がっていた。

 運用の変更後、機構は5月に▽犯罪収益のマネーロンダリング(資金洗浄)に関与したとして有罪判決を受けた栃木医療センター(宇都宮市)の看護師を懲戒解雇▽医療用機器の販売業者から複数回接待を受けた京都医療センター(京都市)の医師を戒告――など9件の懲戒処分を行った。いずれも報道機関に発表し、HPに掲載している。

 機構本部は「不祥事に厳格に対応する組織であるということを内外に示す必要があると判断し、見直した。職員や国民に事実をきちんと見える形にすることで、職員の法令順守、意識向上につなげたい」としている。

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