公益通報した男性職員、処分受けた職員と同じ部屋内に配属された後に自殺…遺族が保護措置怠ったと市を提訴
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不正を公益通報した和歌山市の男性職員(当時28歳)が2020年6月に自殺した問題で、男性の両親は12日、公益通報を行った男性に対する保護措置を取らなかったなどとして、市に約8700万円の損害賠償を求めて地裁に提訴した。
男性は18年に公金に関する不正を知り、休職。公益通報した。復帰後、通報に関連して懲戒処分を受けた職員と同じ部屋内の部署に配属されるなどし、20年6月に自殺した。
訴状によると、公益通報を行った男性に対する何らの保護措置を取らず、処分を受けた職員のすぐ近くに配置するなどした市には安全配慮義務違反があるとしている。
提訴後に記者会見した男性の母(64)は「無念を残して彼は亡くなってしまった。(亡くなった息子を見つけた時の)ショックが大きく、いまだにその時間帯に目が覚めて、ほとんどこの5年間、熟睡できていない」などと苦しい胸の内を語った。そのうえで、「真面目に仕事をする人のために(訴訟を)闘いたい」と述べた。
市は「訴状が届いておりませんので、現時点でコメントは差し控えさせていただきます」とする尾花正啓市長の談話を発表した。