日大重量挙部の元監督逮捕、入学金や授業料名目で奨学生から不正徴収容疑…被害5326万円を大学認定
完了しました
奨学金制度の対象になった日本大学重量挙部の新入生から、入学金や授業料などをだまし取ったとして、警視庁は10日、同部元監督の難波謙二容疑者(63)(東京都狛江市)を詐欺容疑で逮捕した。20年以上前から納付金名目で現金の詐取を繰り返し、私的に流用していたとみている。
捜査関係者によると、難波容疑者は同部監督だった2022年12月、奨学金制度の対象になった新入生4人の保護者らに「納付金の徴収が免除されるのは、2年目以降から」と虚偽の内容を伝え、本来は納付する必要のない入学金や1年次の授業料などの名目で計約205万円を詐取した疑い。
この奨学金制度は、スポーツ競技で優秀な成績を収めた学生が対象で、各運動部が前年度の9月頃に大学側に候補者を推薦。面接や論文試験を経て結果が決まり、各部側から学生に手続きを案内する運用が行われていた。
難波容疑者は、新入生らに奨学生に選ばれたことを隠した上で、入学金や授業料などは「2年次以降、徴収されない」と記載した虚偽の納付金の請求書を郵送し、重量挙部の口座に入金させていたという。
詐取金は男性コーチが口座から引き出し、難波容疑者が全額を受け取っていた。難波容疑者は大学内の自室に一時保管し、自家用車のコーティング代などに充てていたという。
日大は昨年7月、同部の不正徴収について公表。同月に難波容疑者を懲戒解雇し、コーチを降格処分にした。同大の調査で、被害に遭った部員は05年度以降、計58人に上り、被害額は計約5326万円だったことが判明した。
同大では陸上競技部とスケート部でも同様の不正徴収が行われており、過去10年間で、被害部員は計54人、被害額は計6816万円に上っていた。両部では他の部員の授業料などに充てられ、幹部らの私的流用は確認されていないという。