パワハラ自殺した警部補の妻「長崎県警は変革してほしい」…当時の課長と署長の重過失を訴え判決待つ
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長崎県警佐世保署交通課の男性警部補(当時41歳)が自殺したのは、上司のパワハラや長時間労働が原因だとして、警部補の遺族が県に損害賠償を求めた訴訟の判決が10日に長崎地裁で言い渡される。県側はパワハラを認めているが、上司の重過失の有無などで争っており、判決を控え、警部補の妻(54)は「上司にも責任を取ってもらい、県警は組織として変革してほしい」と願う。(西山怜花)
「今でも主人のことを思わない日はありません」。3月4日の地裁での意見陳述。結婚記念日でもあったこの日、妻は夫と自身の二つの結婚指輪を左手薬指に着け、法廷で訴えた。
真面目で優しい性格だった警部補。責任感が強く、急な呼び出しを気にして、親子4人で遠出をすることは少なかった。
訴状などによると、警部補は2020年3月、佐世保署交通課交通捜査係長になった。課長から「お前は能力がない」などと繰り返し
妻によると、スマートフォンの日記には「休まずにやっても毎日のように叱責を受ける始末」「仕事をするだけの毎日に意味が感じられない」などと記されていた。単身赴任中だった警部補のために、同県諫早市の自宅から毎週片道2時間かけて食事を届けに行くのが習慣だった。会うのを楽しみに運転中に聞いていた流行りの曲は「悲しみのスイッチになった」という。
県警は同年12月、交通課長の男性警部のパワハラを認めて戒告の懲戒処分、署長については監督責任を問い本部長注意とし、2人は依願退職した。22年1月、地方公務員災害補償基金県支部は公務災害と認めた。
2年間にわたる裁判「本当に長かった」
「人一人が亡くなってるのに、戒告止まりなんてありえない」。課長と署長の責任を問うため、妻は県に約1億3400万円の損害賠償を求めて提訴した。
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