テレビ局アナによる「4000万円」横領の内幕…本人が告白、「地獄だった」投資の沼に落ちるまで

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取材に応じる江田
取材に応じる江田

 横領の総額は約4000万円。投資信託のために初めて横領した200万円、21年8月からの3200万円。そして、「不適切な会計処理」があったとして約435万円も告げられた。この435万円も「どこで、どのように使ったかは分からなかった」。投資に充てていた金は全て返済していたが、残っていた金から435万円を弁済した。

 労働組合は事実を社内に公表した。会社からはアナウンス業務の停止と自宅待機の指示を受けた。ほどなくして、写真週刊誌から取材を受けると「会社にこれ以上、迷惑はかけられない」。江田は会社を辞めた。

アナウンサーを辞めた

 アナウンサーによる巨額横領のニュースは、今もネットに残る。

 「投資で生きていけると言われることもあったけれど、株価が値上がりしたのは、たまたまだった」。労働組合の役員を離れてからも、江田は不正に得た収益を元手に個別株の信用取引をしていたが、発覚までのわずか4か月の間に2000万円近い損失を出している。生活費にも使っており、435万円を弁済するとほとんど金は残らなかった。「たまたま」という自己評価は妥当だ。

取材中、何度も江田は反省の言葉を口にした
取材中、何度も江田は反省の言葉を口にした

 退職後は実家に帰り、資格取得の勉強を始めたが、人と会うことができなくなってふさぎ込み、心療内科を受診した。「うつ状態で、朝は起きることができず、夕方には理由もなく涙が流れた」という。

 医師から「社会との接点を」と勧められ、始めた就職活動では100社以上にエントリーをしたが、過去のスキャンダルの影響もあって会ってくれたのは5社だけ。「おそらく、その5社もネットで調べていなかっただけ」だと思っている。それでも23年9月に再就職することができたが、過労がたたり、25年3月に退職した。

全てを失って「あの頃はこんな未来が待っているとは」

 「2度目の無職だよ」と力なく語る。

 事件後、江田は離婚した。誇りだった仕事も、家族も全て失った。今は無職になったことをきっかけに、培った技術を生かそうとフリーアナウンサーとして仕事を探しているという。だが、将来は見通せない。「人様が大切に積み立てていた金を使っていいわけなどない。自分が全て間違っていた」と後悔を口にした。

 江田の横領について、CBCテレビに取材を申し入れた。同社は「在職していたことは間違いありません」とした上で、「すでに退職された方ですので、会社としてコメントする立場にございません」と書面で回答した。

取材に応じる江田(右)と記者
取材に応じる江田(右)と記者

 今から12年前。大学を卒業したばかりの私たちは、将来をよく語りあった。彼はアナウンサーに、私は記者になるという夢を (かな) えたばかりで、2人とも自分たちはなんでもできると思っていた。私も紙面に自分の書いたニュースが載れば自慢し、彼は生き生きと出演した番組について語った。楽しい思い出ばかりだが、危うさもたしかにあった。

 「なんでこんなことになったんだろうね」。ペンを置き、記者が問いかけると彼はこう言った。

 「関係ないかもしれないけれど、どんなことでも『なんとかなる』という自分の能力に対しての 傲慢(ごうまん) さはあった」。そして、言った。「あの頃はこんな未来が待っているとは想像できなかったよね」。記者もうなずく他、なかった。

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