ミスターの「野球盤」CM出演、創業者が巨人の宿舎に連日通い直談判…「野球の楽しさ伝えていく」

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 3日に89歳で亡くなった長嶋茂雄さんは、多くの企業のCMに出演し、商品などのPRに当たった。東京都台東区の玩具メーカー「エポック社」の野球盤は、長嶋さんをCMに起用し、子どもに大人気となった。同社の社員たちは長嶋さんの死を悼みながら、「野球を愛した長嶋さんの思いを引き続き伝えていきたい」と話した。(石井恭平)

長嶋さんが広告塔を務めた野球盤やカードについて語るエポック社の柴田さん(右)や左近允さん(3日、東京都台東区で)
長嶋さんが広告塔を務めた野球盤やカードについて語るエポック社の柴田さん(右)や左近允さん(3日、東京都台東区で)

 同社によると、同社創業者の前田竹虎氏(1997年に死去)は58年に会社を起こし、野球盤を開発。同年に巨人へ入団し、スターとなった長嶋さんに野球盤の広告に登場してもらおうと、直談判のため多摩川グラウンド(東京都大田区)近くの巨人軍宿舎に足を運んだ。

 連日通っても長嶋さんと会えなかったが、根負けした宿舎の管理人が仲介してくれ、長嶋さんとの面会に成功。長嶋さんは広告出演を快諾し、テレビCMや雑誌広告に出ると、野球盤は瞬く間に人気商品になった。同社ゲーム事業部ゼネラルマネージャーの柴田裕司さん(53)は「長嶋さんの活躍が野球人気を高め、それが野球盤などの普及にもつながった」と話す。

長嶋さんの写真とサインがパッケージに印刷され、1973年に発売された野球盤(エポック社提供)
長嶋さんの写真とサインがパッケージに印刷され、1973年に発売された野球盤(エポック社提供)

 同社は2009年から、プロ野球のレジェンドたちの写真をカードにして販売しており、一部に直筆サイン付きのカードを含ませているのが特徴だ。04年に脳 梗塞こうそく を発症した長嶋さんもこのサインに協力し、22年まで10年以上にわたって左手でサインを書き続けたという。カード部門責任者の 左近允さこんじょう 亘さん(51)などによると、長嶋さんのカードがいつも一番人気で、サイン入りカードを入手しようと、大量購入するファンもいたという。左近允さんは「今後も長嶋さんの魅力をカードにして伝えていきたい」と話す。

 柴田さんは3日午前、社内メールで長嶋さんの 訃報ふほう に接し、出席中の会議を中断してニュースに見入った。「野球盤と深いつながりがあることを若い社員も知っており、みなショックを受けていた。日本野球の大きな柱を失った」と悲しむ。

 発売から67年。野球盤は現在も同社の看板商品であるロングセラーだ。柴田さんは「長嶋さんは、子どもたちに野球の楽しさを伝えるという思いを大切にしていた。我々も野球盤を通じて、今後も長嶋さんのその思いを引き継いでいきたい」と力を込めた。

長嶋ゲートでレリーフを撮影するファンら(4日、東京都文京区で)
長嶋ゲートでレリーフを撮影するファンら(4日、東京都文京区で)

 長嶋さんの死去から一夜明けた4日午前、東京ドーム(文京区)の「長嶋ゲート」前にはファンらが次々と訪れ、長嶋さんのレリーフを写真に収める姿が見られた。荒川区の塾講師の男性(62)は小学生の頃、当時の後楽園球場で現役の長嶋さんを家族で見に来たことが思い出といい、「偉大な人が亡くなり、ショックで心にぽっかり穴が空いている」と話した。

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