万博子どもの2回目招待、行政が費用出すべき?悩む市町村…1回目は府、以降は各自治体の負担に
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2025年大阪・関西万博で、子どもを無料招待するかについて、大阪府内43市町村の対応が分かれている。吉村洋文知事は複数回の無料招待を打ち出し、2回目以降は市町村で判断してほしいと求めている。読売新聞が取材したところ、現時点で16市町が無料招待を実施するとしたが、2市は「行政が費用を出すべきではない」などとして実施しないと回答した。残る25市町村は「検討中」としている。
16市町は実施
府の計画では、1回目は25年4月1日時点で府内在住・在学の4~17歳約102万人を対象に府が無料招待する。小中高校生は主に学校行事での来場を想定している。学校団体割引を利用すれば、高校生は時期に応じて2400~2000円、園児や小中学生は1000円。府は費用を約20億円と見込む。2回目以降は市町村の負担で実施したい考えで、市町村に意向を確認している。
吉村知事は8月、複数回招待したい考えを表明。9月の府議会で、「最先端の技術やサービスに直接触れる体験を重ね、夢と希望をたくさん感じ取ってもらいたい」と説明した。
読売新聞が府内43市町村に取材したところ、大阪市や門真市、熊取町など16市町が2回目以降の無料招待を「実施する」と回答した。大阪市は市内在住の約28万人に夏季限定で何度でも入場できる「夏パス」を無料配布する方針で、約13億円を負担する。
門真市の担当者は「学校行事として参加する1回目と違い、2回目は関心があるものを自由に見ることができるので、新たな発見があるはず」とした。
一方、無料招待を「実施しない」としたのは東大阪市と交野市。東大阪市の野田義和市長は記者会見で、「2回目は家族や友達と行くことが想定される。家族で楽しみとして行く費用を、行政が負担するのはどうなのか」と疑問を呈した。交野市の山本景市長は「新たな財政支出は他の予算の削減をしなければ認めないという議会の付帯決議があり、難しい」と説明する。
「検討中」と回答したのは、堺市や高槻市など25市町村。枚方市の担当者は「市民の理解を得るため、理由や意義を明確にする必要がある」、阪南市は「急な話ですぐには判断できない」とした。
近隣4県も検討
万博への子どもの無料招待は、滋賀、奈良、和歌山、徳島の近隣4県も検討している。
滋賀県の三日月大造知事は9月25日の県議会で、「万博で世界の様々な文化や知見、技術に触れることは、将来進みたい方向性や社会の課題にチャレンジする姿勢を育てるきっかけとなる」と述べ、無料招待の方針を表明した。
万博を運営する日本国際博覧会協会は、修学旅行や校外学習で120万人の子どもに万博会場を訪れてもらうことを目標に掲げ、首都圏や関西の自治体に協力を呼びかけている。