神戸徳洲会病院、80歳代患者の死亡「気管支鏡検査は負担大きく当直医判断が不適切」…検証結果公表
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神戸徳洲会病院(神戸市)で治療を受ける患者が相次いで死亡した問題で、同病院は、カメラの付いた管をのどに挿入する検査後に死亡した80歳代男性の事例について、負担の大きい検査が患者の状態悪化に影響を与えた可能性があるとする検証報告書をまとめ、ホームページで公表した。同病院は、死亡に至るまでの判断や対応に問題があったとして遺族に謝罪した。
同病院では2023年1月以降、患者が死亡するなどした15件(死亡14件、生存1件)で院内検証を実施。このうち、この男性の事例を含む4件を国の医療事故調査制度に基づく調査対象として外部の専門家を含む調査委員会で検証してきた。
先月公表された報告書によると、男性は肺炎のため入院中の23年10月6日夜に吐血。当直医が気管支鏡という機器を挿入して出血部位を突き止めようとした。だが検査に伴う一連の処置に手間取り、院長(当時)の判断で検査を中止。男性はその後、呼吸状態が悪化し、翌日未明に死亡した。
報告書では、気管支鏡検査が直接の死因とは考えにくく、高齢で救命が難しかったとして、医療ミスには該当しないと結論づけた。一方で、吐血時の検査では一般に負担が小さい画像検査が推奨されており、呼吸状態の悪い男性に気管支鏡検査をした当直医の判断は「適切ではなかった」と指摘した。
このほか▽当直医の経験不足▽吐血時の対応マニュアルが未整備▽他の医師との連携不足▽急変後の家族への説明が不十分――なども問題点に挙げた。
同病院の担当者は読売新聞の取材に「男性の遺族には説明し、納得してもらったと考えている」と話した。
一連の問題では15件のうち14件で検証を終え、カテーテル処置後に死亡した70歳代男性の事例の検証が続いている。