民生委員の不足 時代に即した合理的な制度に
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地域に密着して福祉活動に携わる民生委員の不足が深刻化している。時代の変化を踏まえて業務の見直しを図り、制度の先細りを防ぎたい。
地域社会のつながりが薄れ、自治会の担い手が減少している。地域の福祉を最前線で支える民生委員も例外ではない。
民生委員は厚生労働相から委嘱された非常勤の地方公務員だ。全国で約23万人が無報酬で、高齢者の見守りや住民の相談に応じ、行政とのつなぎ役になっている。
子供の貧困や引きこもり、一人暮らしの高齢者の孤立防止など、様々な社会課題への対応も迫られている。委員の重要性は増しているのに、近年は逆に、充足率が低下傾向にある。
従来は時間に余裕のある定年後の人や、子育てが一段落した人を自治会などが推薦していたが、自治会の加入率が下がり、働く高齢者や女性も増えたことで、適任者が見つからないことが多い。
このままでは制度が立ちゆかなくなってしまう。今後も維持していくには、行政の下請け的になっている業務の現状を見直し、委員の負担軽減を図る必要がある。
例えば、生活保護の申請で、生活実態に関する民生委員の意見書が必須ではないにもかかわらず、提出を求める自治体があった。
学校の就学援助でも、非課税証明書などの公的書類で確認できる申請家庭の世帯収入などを、委員に把握するよう求めていた。
総務省は3月、こうした業務の一部が民生委員の負担になっているとして、厚労省などに運用を見直すよう要請した。
国や自治体は、他にも廃止や効率化ができる業務がないか点検すべきだ。生活保護や介護で日常的に住民と接する自治体職員との役割分担も検討課題だろう。
仕事と民生委員の活動を両立できるよう、環境を整備することも重要だ。東京都港区は、毎月持参させていた委員の活動記録などを郵送でも受け付けるようにした。毎月の会議を夜間やオンラインで開くことも検討している。
それぞれの地域の実情を踏まえて工夫を重ねてもらいたい。
厚労省は、委員が活動する自治体から転居した場合でも、条件を満たせば任期中は続けられるようにした。民間企業や福祉団体と連携を深め、可能なら民生委員になってもらうよう促す仕組みの導入なども検討してもらいたい。
制度の円滑な運用には、民生委員の役割や重要性を住民に理解してもらう努力も欠かせない。