旧統一教会に解散命令、裁判長「類例のない甚大な被害」…1500人超・194億円の被害認定
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文部科学省が解散命令を請求した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、東京地裁は25日、宗教法人法に基づく解散命令の決定を出した。民法上の不法行為にあたる信者らの献金勧誘で、200億円超の損害があったと認定。鈴木謙也裁判長は「悪質な勧誘で類例のない甚大な被害を生じさせた。現在も類似の被害を生じさせるおそれがあり、解散命令は必要かつやむを得ない」と指摘した。
宗教法人法は「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」があれば裁判所は解散を命じることができると定めているが、民法の不法行為を理由とするのは初めて。オウム真理教など法令違反による解散命令が出た過去2例は、いずれも幹部が起こした刑事事件が根拠となっていた。
教団は決定を不服とし、東京高裁に即時抗告する方針。高裁が地裁決定を維持した場合は解散命令の効力が生じ、その時点で清算手続きに移る。清算手続きは教団が最高裁に特別抗告しても継続し、命令が取り消されると停止される。
文科省は2023年10月、不法行為責任を認めた民事訴訟の判決32件や、和解や示談が成立したケースで献金被害規模が約204億円(被害者約1550人)に上るとして解散を請求した。教団側は、組織的に違法行為はしておらず、法令順守の徹底を求めた09年の「コンプライアンス宣言」以降、被害の訴えは激減したと反論していた。
地裁の決定はまず、違法な献金勧誘で1980年頃~2009年に1500人超が計約194億円の被害を受けたと認定。それ以降も教団が根本的な対策を講じず、計179人で9億円超の被害が生じるなど、約40年にわたって全国で被害が起きたとした。その不法行為の多くが宗教活動として行われたことから、「社会通念上、教団の行為といえる」と述べ、組織性を認めた。
決定は、憲法が保障する信教の自由を考慮する必要があるとも言及。ただ、教団の献金勧誘は教理の実践として行われていたとし、献金収入を教団が管理し税制優遇を受けていることを踏まえれば、法人格を与えたままにすることは極めて不適切だと結論付けた。
清算手続きでは、数百億円とされる教団の資産を基に、被害者らへの賠償が行われる可能性がある。全国統一教会被害対策弁護団によると、教団に賠償を求める被害者は集団交渉中の約200人(計50億円超)がいるほか、交渉に至っていない被害者が相当数いるとみられる。
教団は決定について「誤った法解釈に基づいて出された結果で、到底承服できない」とコメントした。
林官房長官は25日の記者会見で、「国側の主張が認められたと考えている」と述べ、「今後も万全かつ厳正な対応と被害者支援に最大限取り組む」と強調した。
◆ 世界平和統一家庭連合 =1954年に韓国で設立され、日本では64年に宗教法人の認証を受けた。当時の名称は「世界基督教統一神霊協会」で2015年に現在の名称に変更された。1980年代に「霊感商法」が社会問題化し、献金被害を訴える訴訟が続出。2022年に安倍晋三・元首相が銃撃された事件で、逮捕された山上徹也被告(殺人罪などで起訴)が教団への恨みを供述し、高額献金被害に注目が集まった。