ウクライナの美術学生「画材なくなり展覧会もできない」…日本で展覧会や作品販売して支援
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ロシアによるウクライナ侵略の終わりが見えない中、福岡市出身の武内
武内さんは近畿大でロシアの法律に関心を持った後、札幌大に入り直してロシア語を学んだ。2022年秋から同国の国立大に留学することが決まり、札幌大を中退。渡航の準備を進めていたさなかの同年2月、ロシアがウクライナへの攻撃を開始した。
目標だった留学は断念せざるを得なかった。だが、落ち込む間もなく、戦地で多くの命が失われ、街が破壊されている状況に、「ウクライナで何か役に立てないか」との思いが膨らんだ。貯金を取り崩し、昨年4月にウクライナに入った。
同7月までの滞在中、ポーランドとの国境に近く、戦闘が激しい地域などから避難民が集まる西部リビウで、学生を受け入れていた四つの大学を訪ねた。美術を学ぶ学生らから「大学が爆撃に遭った」「画材がなくなり、展覧会もできなくなった」といった声を聞き、日本での展覧会や作品の販売を思い立った。
学生25人から計約40点の作品の提供を受け、22年夏に東京都内の4か所で展覧会を開催。出品したある女子学生はロシアとの国境近くの自宅が砲撃され、避難先でも爆撃を受けた。つらい体験をしたにもかかわらず、明るい色遣いでウクライナを象徴する花「ガマズミ」などを表現した絵画が注目を集めたという。作品は完売し、計数十万円の売上金は学生らに送った。
昨年11月~今年3月の2度目の渡航では、避難所の子どもたちと遊んだり、軍事侵攻で親を亡くした子どもたちが入る孤児院に日本で集めた衣服や現地で買ったおもちゃを贈ったりした。
一方、経済的に困窮する学生らが継続して生活費を得られるよう、日本人向けにオンラインの英会話教室「アヌラ」を開設した。英語が堪能な学生6人が講師として登録し、大学2年のリサ・バシュレンコさん(18)は「日本人とウクライナ人がお互いをサポートしているこの教室が本当に大好き」と言う。
教室を月に十数回利用している京都府の主婦(60歳代)は、女子学生から現地の惨状を聞き、ウクライナ語も学ぶようになった。「武内さんが現地で人脈を開拓し、つないでくれた縁に感謝している」と語る。
武内さんは現地で知り合った学生から爆撃を受けた自宅の写真を見せてもらい、「普通に暮らしていた同世代の人たちが巻き込まれていく様子を見て、人ごとではないと思った」と振り返る。ウクライナの菓子や茶などを日本で販売し、売り上げを支援に充てる取り組みも始めており、今後の渡航も計画している。
英会話教室の受講はウェブサイト( https://www.allanura.com )から申し込める。