不来方高校音楽部が「ファイナルコンサート」…学校統合前の最終公演 地元・矢巾で開催

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 統合で新年度から校名が変わる県立不来方高校音楽部による「ファイナルコンサート」が29日、矢巾町の田園ホールで開かれた。先月から県内外の会場を巡業し、地元での最終公演で有終の美を飾った。(福守鴻人)

校章を背に、<朝夕仰ぐ 岩手山>の歌詞ではじまる校歌で幕を開けたファイナルコンサート(29日、矢巾町で)
校章を背に、<朝夕仰ぐ 岩手山>の歌詞ではじまる校歌で幕を開けたファイナルコンサート(29日、矢巾町で)

 不来方高校音楽部は、開校後の37年で全日本合唱コンクール・全国大会の最優秀賞にあたる文部科学大臣賞を8回受賞するなど、全国屈指の実力を誇る。欧州など海外公演の実績もあり、プロの世界で活躍する卒業生も少なくない。

 4月に県立盛岡南高校と統合して「南昌みらい高校」に校名が変わることから、在校生や卒業生らで「ファイナルコンサート~不来方サウンドよ永遠に~」を企画。2月から東京や盛岡のほか、阪神大震災の被災地である兵庫県西宮市や、東日本大震災で被災した陸前高田市で公演してきた。

 全5回の最終回となる29日は、不来方高校がある矢巾町で、在校生や卒業生約140人が800人以上の観客を前に歌声を響かせた。「アヴェ・マリア」「瑠璃色の地球」「となりのトトロ」など20曲以上を披露すると、終演後もしばらく拍手が鳴りやまなかった。盛岡市の女性(54)は「黙って歌声を聴いているだけで涙が止まらなかった」と話した。

 「不来方サウンド」と呼ばれる同部の歌声は、曲ごとに変化する表現が特徴だ。真剣な表情で歌ったり、体を揺らしながら楽しそうに歌ったりして、観客を楽曲が持つ世界へ引き込む。

 顧問として30年以上指導にあたる村松玲子さん(67)は「曲がどのように生まれたかを生徒たちと徹底的に考え抜くことで、曲への理解を深めている」とそのねらいを語る。部長の吉田倫さん(2年)も「復興を祈る曲では、悲しみのなかにも希望があると伝える歌い方をしている」とこだわりをみせた。

 校名が変わっても、音楽を通じて得られる喜びは変わらない。村松さんは生徒たちにこう期待した。「合唱は、同じ時間、場所で同じメンバーが同じ気持ちになって練習する。時間をかけて追求した分だけ喜びを得られる芸術である合唱を通じて、濃い3年間を過ごしてもらいたい」

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