半世紀 掘り起こす絆
完了しました
来春閉校の海南・南野上小 タイムカプセル開封
海南市立
卒業生ら式典でお披露目
「2025年にタイムカプセルを開封する」
150周年の記念式典の計画を練っていた同小の担当者が、100年誌にこんな記述があるのを見つけ、卒業生たちに連絡。有志が1月、集まった。
当時、中心となった6年生だけでなく、低学年だった人も含め、還暦の前後となっていた。当時の記憶や写真を頼りに、運動場の一角を重機で掘削し、地中約1メートルにあったカプセルを取り出した。皆、目を輝かせていた。
50年ぶりに出てきたのは、100点を超える制服や作文、絵画など。乾燥剤がカプセルに敷き詰められていたため、きれいに保存されていた。
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同小の起源は、1875年2月に開校した亀ノ川小に遡る。1947年、南野上村立南野上小に名称が変更された。村が海南市と合併した55年、現在の校名となった。
これまでに3000人以上が巣立った。ただ、山間部にあり、過疎化が進んで児童は年々、減少した。現在は17人が複式学級で学んでいる。適切な学校規模を維持するため、2026年4月、市立中野上小に統合される。
学びやとの離別が近づく。そんな中で、創立150年を迎えた。
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150周年の記念式典が今月9日、体育館であり、約170人が参加した。全員で校歌を歌い、カプセルがお披露目された。
当時の6年生を代表し、原谷裕和さん(61)は「小学校時代は人生のスタート地点だ。振り返ることで有意義な時間にしよう」とあいさつした。カプセルの中身を見た人たちは「教科書が今より薄くてランドセルに入れてもスカスカだった」「未来の乗り物の絵があった。50年後、車が空を飛ぶと本当に思っていた」などと語り合った。
自身の作文を見つけた同市在住の西出拓司さん(61)は「思っていたより、しっかりしたことを書いた小学6年生の自分を褒めてあげたい」とはにかんだ。
在校生も参加し、南野上小の歩みや今の学校生活を報告。6年生の男子児童(12)は「昔のものが残っていたり、思い出を覚えていたりするのがすごい。南野上のことがもっと好きになった」と話した。
思い出の品は閉校まで南野上小で保管し、持ち主が名乗り出れば返還する。カプセルの掘り起こしや式典の様子は150周年の記念誌に収録する予定だ。
北端一喜校長は「在校生にとっても、昔と今の環境の違いを知れる機会になった。児童と地域住民がつむいできた南野上の歴史を後世に残す記念誌にしたい」と話している。