公選法改正案 ポスター規制は一歩にすぎぬ
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選挙と何ら関係のないポスターの掲示を規制するのは当然だとしても、選挙を巡る問題はそれにとどまらない。
SNS上に広がった真偽不明な情報が、選挙結果に影響を与えている事態は放置できない。また、自らの当選を目指さず、他候補を支援するために立候補することも公平、公正であるべき選挙を
政府と与野党は、さらなる法規制に向けた議論を急ぐべきだ。
与野党7党が、選挙の品位を損なう内容のポスターを禁じる公職選挙法改正案を衆院に提出した。3月中に成立する見通しだ。
改正案は、選挙ポスターへの候補者の氏名の記載を義務づけた。ポスター掲示板に企業や商品の広告を掲載した場合には、100万円以下の罰金を科すとした。
昨年の東京都知事選では、「NHKから国民を守る党」が選挙ポスターを掲示する権利を事実上販売した。その結果、公費で提供された掲示板に風俗店の広告や子供が描いた絵などが貼られた。
民主主義の根幹である選挙を
選挙を巡っては、より深刻な課題も浮上している。
昨年の兵庫県知事選ではSNS上に虚偽や真偽不明の情報が氾濫した。例えば「斎藤元彦知事にパワハラはなかった」といった投稿は、斎藤氏が職員を強い口調で
最近は、アルバイト代稼ぎに、候補者や政治家の演説の動画を興味本位で切り貼りして編集するといった例も増えている。その結果、政治家の行動が実態とはかけ離れたイメージを与える内容に変形されるような事態も起きている。
兵庫県知事選ではまた、NHK党の立花孝志党首が自分の当選を目指すのではなく、斎藤氏を応援するためとして出馬し、「2馬力」の選挙運動だと批判を浴びた。
与野党は、SNSや「2馬力」の規制については慎重な検討が必要だとして今回は見送り、付則に「引き続き検討し、必要な措置を講じる」と記すにとどめた。
付則への明記で歯止め効果が働くことを期待しているようだが、そんな悠長な構えでいいのか。
現に立花氏は一時、来月の千葉県知事選に現職を支援するため出馬すると表明し、後に取りやめる騒ぎを起こしている。
SNSにしても「2馬力」にしても、実効性のある規制を行わなければ今後、様々な選挙で同様の事態が繰り返されかねない。