トクリュウによる犯罪SNSで加担安易に…若年層の関与防止へ京大・岡邊健教授に聞く
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SNSでつながる「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」によるとみられる特殊詐欺などの被害防止は、府内を含め全国的な課題となっている。なぜこのような犯罪が広がるのか。京都大の
トクリュウによる犯罪は、SNSや「テレグラム」など秘匿性の高い通信アプリが普及した現代だからこそ成立する。首謀者は安全に、そして手軽に実行犯を募集できるうえ、実行役ははじめから「使い捨て」にする目的で集めている。「メンバー募集、即実行」が今までにない犯罪形態で、10年前には難しかっただろう。
トクリュウの
少数の首謀者の下には、募集役の「リクルーター」らがおり、これらの層と実行犯は意図的に切り離されている。捜査員が架空の身分でリクルーターの募集に応じる「仮装身分捜査」の導入が検討されているが、トクリュウは下層から首謀者を把握しにくい構造になっている。実行犯の検挙が増えれば抑止効果は生まれるかもしれないが、トップを明らかにして組織を壊滅させるのは短期的には難しいだろう。
中心人物の検挙が難しい以上、対策としては被害防止を図りつつ、「闇バイト」などへの若者の関与を減らし、トクリュウそのものを成立させない方向が重要となる。
トクリュウが関与した犯罪の中でも、2023年1月に東京都で高齢女性が死亡した強盗事件は社会に衝撃を与えた。だが、全国で検挙されたトクリュウ関係とみられる508人(24年4~5月)のうち強盗は7%程度で、詐欺と窃盗が計約77%を占めた。強盗は素人にはハードルが高く、中心犯罪は特殊詐欺と考えるべきだ。
特殊詐欺被害は全国的に増えており、京都も例外ではない。24年の府内の被害額は前年比72%増の11億円超で過去最悪の水準となった。全国平均(前年比59%増)を上回る増え方だ。状況を深刻に受け止め、固定電話の防犯機能付与などの対策を続ける必要がある。
近年は、送金額の上限がATM(現金自動預け払い機)より高額なインターネットバンキングで振り込ませるケースも増えている。スマートフォンを利用する世代が、犯罪者に狙われやすい高齢者層になってきていることが一因とみられ、トクリュウ側も社会をよく観察し、巧みに弱点を突いている印象を受ける。
ギャンブルなどでお金に困った若者が、アルバイト感覚でSNSの怪しげな募集に応じて犯罪に加担する事例も散見される。ギャンブル依存症対策の充実や、若者には抑制的に運用されがちな生活保護制度の見直しなど、社会的に
警察かたる「予兆電話」、京都府警がHPで公開へ
特殊詐欺の手口を知ってもらおうと、京都府警は27日、京都市伏見区の50歳代女性にかかってきた警察官をかたる不審な電話(予兆電話)の音声を報道機関に公表した。今後、府警のホームページで公開する予定。
女性のスマートフォンには今年1月23日夕、警察署と同じ末尾「0110」の番号から着信があった。女性が電話に出ると、電話口の男は「神奈川県警で資金洗浄事件の捜査をしている」「主犯格の自宅から大量の銀行カードを押収した」と説明。女性のキャッシュカードが事件に使われているとし、金融機関の口座情報を聞き出そうとしてきた。
女性は詐欺を疑い、同居する次男に相談する旨を伝えると、「秘密漏えい罪にあたる」「容疑者として扱い、身柄を拘束する」などと迫られた。電話を切り、次男を通じて向日町署に相談したが、「こうして多くの高齢者が被害に遭っていることを考えると、怒りを覚えた」と振り返る。
府警特殊詐欺対策室は「怪しい電話に出てしまった場合、相手の名前や所属を聞き取ってから電話を切り、当該機関に改めて事実を確認してほしい」と呼びかけている。
府警のホームページでは、「安全な暮らし」内の特殊詐欺のコーナーで、息子や役所職員など様々な人物をかたる「犯人の声」を公開している。
府警によると、今年1月の1か月間に府内で発生した特殊詐欺の被害件数は25件で、被害額は計1億8785万円だった。今回の音声のように、警察官を名乗る手口が目立った。
類型別の内訳は、オレオレ詐欺が10件(1億7453万円)、キャッシュカードをすり替える詐欺盗が7件(507万円)など。犯人側が名乗った主な立場は警察官が18件で、全体の7割超を占めた。