なぜ妻の姓は嫌なの?「妻氏婚」結婚した47万4741組のうち5.5%

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夫婦が同姓にするか、別姓にするかを選べる「選択的夫婦別姓」の導入について、議論が進められています。夫婦同姓を義務付けている現在の民法では、夫婦どちらかの姓を選べることが定められています。にもかかわらず、ある女性は結婚の際、自分の姓を夫が選択することを、夫の両親に猛反対されました。女性は「どうして妻の姓は嫌なの?」という疑問を抱いて、読売新聞の掲示板サイト「発言小町」に投稿。改姓を巡って、女性たちが胸の内を明かしています。

投稿者は、1年ほど前に結婚した「なんだろ」さん。夫とは結婚前から、どちらの姓にするか話し合っていました。2人とも〈1〉自営業ではない〈2〉国家資格などを持っていない〈3〉引き継ぐ家や土地がない――の三つを理由に、夫婦どちらの姓を選んでもいいと考えていました。夫の両親の前でも、「名字をどちらにしようか迷っている」といった話をしていたそうです。

ところがある日、夫の両親は息子を呼び出し、トピ主さんの姓を選ぶことに猛反対したのです。「自分の名前が変わるのが悲しくないのか」「画数だって考えて名付けているのにひどい!」などと非難を浴びせ、これには夫も「自分たち夫婦で決める」と抵抗したといいます。

これに対し、トピ主さんの両親は「娘は名字が変わるものだと思ってきたし、あちらのご両親が望んでいるなら夫の姓にすればいいと思う」と譲歩の姿勢を示しました。結局、夫の姓を選ぶことになり、「悲しい気持ちがあった」と振り返るトピ主さん。最近では、夫の姓にすっかり慣れたといいますが、「なぜそんなに反対したのか、反対するなら感情的な理由以外に他になかったのか」と気持ちを引きずっています。

夫婦の姓選択に「無意識の偏見」

結婚する2人の約束事が記入できる東京都町田市の「ご当地婚姻届」
結婚する2人の約束事が記入できる東京都町田市の「ご当地婚姻届」

このトピには100件近い反響がありました。「親は息子の名字が変わると思って育てていない」「女性の姓になる可能性を考えたこともない」などの意見が目立ち、夫婦の姓の選択を巡っては、男女を問わず、「結婚したら夫の姓になるもの」というアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が根強いことがうかがえます。

厚生労働省の人口動態統計によると、1995年以降で婚姻件数が最も多かった2001年は、79万9999組のカップルのうち、夫の姓を選択した割合が96.9%でした。以降、2011年には96.2%、16年は96.0%、21年は95.0%と推移。23年には、婚姻届を出した47万4741組のうち、94.5%が夫の姓を選択し、妻の姓を選んだのは5.5%(2万6344組)にとどまりました。

「人間って、悲しいかな、多くの人がやっているのに自分だけというのは耐えられないものです」と人生訓をつづったのは「おじさん」さん。結婚は夫婦になる2人だけでなく、それぞれの家族など多くの人が関わるとし、「『妻の姓にするなんて周りには一人もいないのになんでうちの子だけ』となるのは、自然なことでしょう。実際、親世代の考えは伝統的なものだったわけですし」と、トピ主さんの夫の両親に理解を示します。

自身の名字にこだわりがないという50代の「ヨーコ」さんは、息子が結婚するときには相手の女性の姓を選んでも反対しないといいます。ところが、母の意向を聞いた息子は、「え~、名字変えたくないわ」と軽やかに退けました。名字を継がせるという意識で育てた記憶はありませんが、息子本人は「自分は結婚しても名字を変えない側」と刷り込まれて育ったと感じた「ヨーコ」さん。「長く続いた慣習を変えるのは難しいですね」

「あやね」さんも、妻の姓にするのは普通ではないと指摘。普通ではないことをするのは、「世間体も悪い」「抵抗が強い」とし、「おそらく夫が姓を変えていたら、夫はもっと大変だったと思いますよ」とトピ主さんをなだめます。

「もう二度と改姓なんてするものか」

妻の改姓に「私も納得していません」と未練をにじませるのは、「中高年」さんです。25年前、婚姻届を出した役所で、断られるのを承知で「夫婦別姓にできませんか」と尋ねたそうです。働いて稼ぐ女性が増え、結婚しても夫の家に嫁ぐわけではない現状を踏まえ、「時代は変化しているのに風習や制度や法律が変わらないことがおかしい」と、力を込めてトピ主さんに同調します。

周囲に説得されて夫の姓にした「別姓大賛成」さんは、「毎日毎日、悲しくて悲しくて……」と、結婚当初を振り返ります。結婚後3年で離婚し、旧姓に戻ったそうですが、「うれしかったのなんの! やっと自分に戻れた気がしました。もう二度と改姓なんてするものか、と心に誓いました」と当時の思いをつづりました。

結婚して20年という「とこ」さんも、「当時は当たり前のように夫の姓になりましたが、それでも悲しかったな」と思い返します。娘が結婚する頃には、夫婦別姓を選べるようになっていてほしいと願ってやみません。そして、「夫が先に死んだら婚姻終了届を出して、姓を戻して死にたいです」とも。

「あらら」さんは、結婚して30年がたちましたが、夫の姓を名乗るようになった期間より、旧姓の期間のほうが長いそうです。「麻酔から目覚め始めた際に、婚姻のために得た姓で呼びかけられたのですが、意味が分からなくて、返事ができるまでかなり間が空きました」と手術を受けたときの体験を思い返し、「生死の境目では、本当の名前(私にとっては旧姓+名前)で呼ばれたい」と切実な願いをつづりました。

夫の改姓に「何で?」「いい旦那さん」

婚姻届の記入例。夫婦どちらの姓を選ぶか「レ」を入れる欄で「妻の姓」にチェックが入っている例は珍しい(千葉県八街市)
婚姻届の記入例。夫婦どちらの姓を選ぶか「レ」を入れる欄で「妻の姓」にチェックが入っている例は珍しい(千葉県八街市)

「ゆかり」さん夫妻は、一人っ子同士の結婚でした。幼い頃から名字を継げと言われ続けたことに嫌気がさしていた夫。一方、自分の名字に愛着を持っていた妻。その結果、夫が改姓する「 妻氏婚(つまうじこん) 」となりましたが、周囲は「何で?」「婿養子に入ったの?」「いい旦那さんだね」のいずれかの反応を示すといいます。「ゆかり」さんは、「多数派だからそれが普通、当然という考えが不思議」と言い、世間の“当たり前”を問い直します。

ちょっと珍しい名字という「ちくわ」さんは、漠然と「結婚したら自分の姓を残したいな~」と思っていたそう。結婚する際に夫に相談したところ、あっさりと改姓を承諾してくれました。「夫の家は義父が婿養子で養子縁組をしている家でした。そんな家で育ったから夫はあまり改姓に抵抗がなかったのかもしれません」

改姓を巡っては、「はん」さんは「トピ主さんが姓を変わることに悲しいと思うように、相手の姓に変わることがうれしいと感じる人もいます」とコメントを寄せ、「感情論なので、いくら話しても永遠に分かりあえることのない問題」とも言い切ります。

選択的夫婦別姓が制度化されても、「夫の姓にするのが当たり前」「普通は妻の姓を選ばない」といった“当たり前”を押し通しては、多くの女性が心の中で悲しみを押し殺してしまう状況は改善されないかもしれません。「自分が相手の姓に変わったら……」と男性も考えてみることが大事なのでは。かく言う記者は、全国トップを争う平凡な名字なので、改姓で違う名前になることにちょっと憧れています。

(読売新聞メディア局 鈴木幸大)

【紹介したトピ】 どうして妻の姓は嫌なの?

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6371827 0 大手小町 2025/02/28 11:00:00 2025/03/03 10:08:42 /media/2025/02/20250227-OYT8I50035-T.jpg?type=thumbnail

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