別府市ひき逃げ死亡、一緒にいて負傷した男性「ここまで捕まらないとは」…八田與一容疑者へ消えない怒り
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2022年6月、大分県別府市で起きたひき逃げ事件で、死亡した男子大学生(当時19歳)とともにはねられ、負傷した大学3年の男性(22)が読売新聞の取材に応じた。発生から約2年8か月。道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で警察庁の重要指名手配容疑者に指定された八田
「ここまで捕まらないとは思わなかった」。今月10日、現場の交差点で男性がつぶやいた。29日の月命日には欠かさず2人分のコーヒーを持って訪れ、1か月の出来事を亡き友人に語りかける。「事件を忘れない意味でも大切な時間です」
2人は大学で出会った。ともに海外留学を志し、経営者になる夢を描く共通点があり、すぐ打ち解けた。友人の自宅には経営に関する多くの書籍があり、「夢に向かって準備しているな」と感じていた。「2人で何かできたら」。そう語り合ったこともあった。
希望に満ちた未来はあの夜、突然奪われた。2人で寄った別府市の商業施設の駐輪場から原付きバイクを出そうとした友人は、大音量で音楽を流していた男と話をしていた。男性のバイクと合流した友人は、「(男から)『そこバイク通るところじゃない』と言われ、『すみません』と謝った」と説明した。
出発し、近くの信号で停車した時も男の話になった。男性は「変なやつだ。気にすんな」と慰めたという。その直後、アクセルを踏む排気音とともにヘッドライトの光が後ろから急速に近づいてきた。はね飛ばされた男性は、救急車の中で事故ではないと確信し、「犯人は絶対あいつです」と救急救命士に訴えた。
翌朝、病室で両親から友人の死を知らされた。数日後の葬儀にはつえをついて参列し、弔辞を読んだ。仲間と笑って見送ろうと約束したが、涙は止まらず、現実を受け入れられなかった。容疑者の行方も分からないまま時は流れ、事件から1年ほどは「自分だけ生き残って申し訳ない」と自責の念に駆られた。
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