【患者間殺人隠蔽事件】証言〈中〉認知症疑い医師利用か 加害男は閉鎖病棟に隔離 

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みちのく記念病院が遺族に渡した死亡診断書。死因が「肺炎」と記載されている
みちのく記念病院が遺族に渡した死亡診断書。死因が「肺炎」と記載されている

 「警察、来ないね」

 2023年3月13日午前9時半頃、みちのく記念病院。出勤したベテラン看護師が同僚とそんな話をしていると、電話が鳴った。声の主は院長の石山隆容疑者(61)(犯人隠避容疑で逮捕)だった。前夜に入院患者の男性(当時73歳)が相部屋の男に襲われ、13日朝に心肺停止状態になっていた。

 「死亡診断は○○先生にお願いしてください」。そう告げて、隆容疑者は電話を切った。同日朝の様子を証言したベテラン看護師は「うそでしょと思った」と振り返る。

 読売新聞が入手した病院の内部資料によると、「○○先生」は当時89歳で、22年12月から同病院に入院していた男性患者のことだ。医師免許を持ち、同病院で働いていたことがあったが、認知症の疑いがあった。この前に入院していた病院では、意識障害などの症状が表れる「ウェルニッケ脳症疑い」とも診断されていた。

 みとり医――。捜査関係者によると、医師がいない夜間などに患者の容体が急変して亡くなった場合、男性患者が死亡診断を任されることがあり、院内ではそう呼ばれていたという。

 病院職員らによれば、男性患者は高齢と症状からか、亡くなった人を診察しないまま死亡診断をすることがあった。県警は同じ男性患者の署名が入った死亡診断書を大量に押収しており、記載された死因の大半は「肺炎」となっていた。

 隆容疑者から、この男性患者に死亡診断をさせるよう指示を受けたベテラン看護師も男性患者の状態を知っていた。「○○先生が肺炎と書くのは周知の事実。死亡診断をさせるということは(院長は)そういう意図なんだとくみ取った」と証言した。

 捜査関係者によると、隆容疑者の指示は複数の看護師を介し、男性患者が入院するフロアに伝わった。

 医師署名欄に男性患者の氏名がある死亡診断書で、男性の死亡時刻は「午前10時10分」となっている。死因の欄には「肺炎」の2文字。死因の種類を記載する欄は「病死及び自然死」の項目に丸がつく。記録上、男性は病死になった。当日の男性患者の看護記録には、患者としての様子が記されている。

 男性の死亡後、男性と男性を襲った男の主治医・石山哲容疑者(60)(犯人隠避容疑で逮捕)が事件の 隠蔽いんぺい を図った証拠として、捜査機関が重視する資料がある。同日午前11時に精神科医の哲容疑者の名義で書かれた男の診療記録だ。

 「情動不安定」「衝動行為が予想され」るとし、「医療保護入院が必要」とある。捜査関係者によると、哲容疑者は男性が襲われた直後に担当看護師から「外傷がある」と報告を受け、その後、隆容疑者と携帯電話でやり取りしていたという。

 男が男性を襲った直後の様子として、13日午前1時43分に作成された看護記録には「殺してやろうと思った」「歯ブラシで、何度も刺した」と男の発言が記されていた。一方で、医療保護入院を告知した診療記録は男の加害行為に触れていない。

 記録では、「医療保護入院が必要」とされた内容を看護師が午後4時41分に「受領」したとある。病院職員によると、男は、施錠され、自由に出入りができない閉鎖病棟に隔離された。

 病院として事件の発生を県警に通報せず、隆、哲両容疑者以外の人物も隠蔽事件に関わっていくことになる。

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